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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科20巻4号

1966年04月発行

文献概要

他科の知識

乳癌の診断と治療

著者: 村上忠重1 西田佳昭1 佐藤正1 児玉寿太郎1 木鳩健1

所属機関: 1昭和大学医学部第1外科教室

ページ範囲:P.280 - P.283

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はじめに
 本邦における乳癌の発生頻度は諸外国に比べるとあまり高くない。死亡統計からみると欧米諸国の女子では,乳癌が胃癌や子宮癌を越えて第1位であるのに比べ,本邦では第4位で,女子の癌死亡の約3.8%を占めるにすぎない。しかし,本邦の乳癌死の頻度は過去数十年間に統計的に明らかに増加しつつあるし,また乳癌手術の永久治癒率は50%以上という高率であるので,実際に外科外来を訪れる乳癌患者の数はもつと多いことになる。それに最近では乳癌を恐れて受診する人達の数は実数を遙かに上回る。
 最近10年間に私どもの外科を訪れた乳腺患者の総数は1,353名で,外来患者総数の約4%にあたる。乳腺患者を腫瘤性(含乳腺症)と炎症性に大別すると,腫瘤性は984例73%,炎症性は369例27%である。984例の腫瘤性病変に対し,その54.4%535例に組織診断を確立することができた。535例の診断の確立された腫瘤性病変を頻度の順にならべてみると乳腺症298例56%,線維腺腫97例18%,乳癌91例17%となる。以下これらの患者について観察する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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