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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科20巻8号

1966年08月発行

雑誌目次

特集 産婦人科医のための臨床薬理・1

薬物療法の基礎知識

著者: 松岡松男

ページ範囲:P.601 - P.602

はじめに
 産婦人科医ことに妊婦を取扱う産科医は,医療行為全般に母体のみならず胎児の健康に対する考慮がなされなければならない。ほとんどすべての薬物が胎盤を介して児へ移行し,しかも発育段階にある胎児細胞は,外的刺激に対して成人の細胞より一層感受性が高く脆弱である。こうした見地からサリドマイド事件は産科医の薬物療法上の一大警鐘であつたと言えるであろう。ここ数年来,本邦においても諸教授により,妊婦に対する薬剤投与に関する綜説が発表されているが,本稿において,臨床上汎用される薬剤の中で胎児に対する危険が判明している,あるいは予想される薬剤に関し,あえて概説を繰返してみた。産婦人科医の薬物療法上の基礎知識の一部となれば幸いである。

貧血と出血傾向のための薬物

著者: 古谷博

ページ範囲:P.607 - P.611

はじめに
 産婦人科の実地臨床において,出血という症状は日常あまりにもありふれているといつてよい。したがつて特に性器出血をおこす病因なり機序に関する知識は一般的によく知られているし,また大出血に対する処置についても身についているが,その背景というか,考えようによつては本質的な問題ともいえる出血の機構,止血機序,ひいては血液凝固機転などについては,問題が複雑で実地臨床の根拠となるほどの理解がなかなかもちにくいのが現状である。これはあたかもホルモンの複雑なメカニズムまでは理解できない程度にありながら,いわば押ボタン式の安易さでホルモン療法を行なつているのと同様で出血に対していろいろな止血剤をその特有な作用機序を十分に理解しないで使つているような場合が多いのではなかろうかと反省させられる。
 また一方では,わが国の婦人には一般に貧血者が多い上に,産婦人科疾患には出血,感染,腫瘍など貧血をおこしたり,これを進行させやすいものが多いことが重なつて,患者の大半は貧血になつているといつてもよいだろう。医師も患者も貧血にはむしろ悪い意味でなれてしまつているともいえる。手術を必要とする患者には術前に輸血して貧血を回復させておけばよいという考え方は,手術それ自身の安全性などの見地からは一応よいであろうが,その貧血状態をきたした根本原因に対する治療としてはとかく不十分になり勝ちなことが多い。

いたみと発熱のための薬物

著者: 水野重光

ページ範囲:P.613 - P.617

はじめに
 産婦人科においていたみと発熱を伴う疾患は,偶発合併症を除けば,ほとんど大部分が感染によるものである。非感染性炎症もないわけではないが,これとて軽度の感染でないと断言することは困難である。
 感染による炎症に対しては,近年非常に進歩した化学療法剤を適宜使用すれば簡単に解決するわけであるが,実際には無効に終る場合も少なくない。これは同一疾患と診断されても,患者によりそれぞれ身体条件が違うばかりでなく,原因となる細菌の側からみても使用各種薬剤間に感受性の相違があり,このことは菌種が違えばもちろんであるが,同一菌種でも感受性は千差万別で,著しい耐性を示す細菌によつて起こつた感染例においては,抗生物質の選択には十分な慎重さが要求される。炎症に対しては化学療法剤が主役を勤めるが,最近は抗炎症剤の併用も試みられている。感染徴候のまだ明らかでない初期には抗炎症剤の単独投与で治療の目的を達することも多い。

高血圧に用いる薬

著者: 相沢豊三 ,   高木康行

ページ範囲:P.619 - P.622

はじめに
 高血圧に対する降圧療法は,降圧剤の進歩普及につれていろいろな方面で広く行なわれている。降圧療法の意義は高血圧の際の脳・心・腎等重要臓器にみられる循環障害の是正にあるが,一方高血圧の持続によつて生ずる血管の器質的障害(細動脈硬化あるいは動脈硬化)をできるだけ少なくしようとすることも重要な目的である。したがつて降圧剤の使用は一般にかなり長期にわたつて行なわれる場合が多いので,副作用のない有効な治療を行なうためには医師は降圧剤の長所・短所を十分に熟知しておくことが必要である。また降圧療法は高血圧をきたす疾患に対する一種の対症療法であり,高血圧が基礎疾患を有する症候性高血圧である場合には基礎疾患に対する治療がもつとも重要なものとなることは当然である。
 これらのことから本稿ではまず高血圧をきたす諸疾患についてのべ,降圧療法の実際について概説してみたい。

全身麻酔薬

著者: 長内国臣 ,   別府清男

ページ範囲:P.623 - P.626

はじめに
 産婦人科における全身麻酔は,外来処置ならびに小手術の短時間麻酔と,子宮内容除去術のごとく短時間であるがさらに深い麻酔深度を要する麻酔,さらに帝王切開を含めた開腹手術時の麻酔に大別される。なお,最近では全身麻酔による無痛分娩も行なわれているので,以下これらの順に従い,現在多く使われている代表的な薬剤につき,その薬理作用を中心にして述べる。

催眠剤・精神安定剤

著者: 岩淵庄之助 ,   村田高明

ページ範囲:P.627 - P.631

はじめに
 インクの香りのする朝刊より始まつて,深夜のテレビの終了まで私達の生活においては実に多くの薬の宣伝にさらされている。いわく強肝保健剤,総合ビタミン剤,消化剤,そして精神安定剤と。このような薬物の氾濫は一体何に由来しているのであろうか。もちろん文化の所産としての化学技術の向上にもよるであろうし,医界,薬業界の知的努力の結果でもあろう。また国民の保健衛生思想の普及なども考えられよう。しかし角度を変えて見渡したときそこにみるものは近代の複雑な社会機構,苛烈な生存競争の中にあつて多くの人々が人間関係の絆に苦しみ,近代産業は飽くことなく豪華で豊富な物質の攻勢をもつて個人の欲望を刺激し,環境と生活の不協和音の中にて生きんとする人間を圧迫して止まない姿がある。このような現代の生活において人々は不安にさらされ,緊張にかられ,不穏にとりのこされ,「ノイローゼ」なる医学術語が一般社会用語としてなんの不思議もなく用いられているこの時代の社会性の反映が—,マスコミを通じての疾病に対する教育は一面には人々に疾病に対する認識をもたらし国民の保健衛生に多大な貢献をなしたが,反面には疾病に対する根強い予期不安,恐怖を植えつけそのはねつかえりは薬物に対する無批判な依存と過大な期待が──,この薬物の氾濫の裏面を物語るものではないであろうか。

グラフ 婦人科細胞診シリーズ・3

細胞の照射変化

著者: 石束嘉男

ページ範囲:P.599 - P.600

I.細胞全体としての変化
 1.膨大する
    通常の大きさの2〜4倍にも達すること    がある。

外国文献

新生児の無呼吸/頸癌

ページ範囲:P.611 - P.611

 Reid, D.H.S.&Mitchell, R.G.:Recurrent neonatal apnoea.Lancet 1:786-788, April 9, 1966.
 新生児にチアノーゼはしばしば見うけるが,チアノーゼが一過性か永続か,呼吸停止によるかその他の原因かをたしかめる必要がある。無呼吸をくりかえし,その都度,間歇的にチアノーゼになるのがrecurrentapnoeaである。respiratory-dist—ress syndrome,肺炎,肺出血,頭蓋内出血,核黄疸,低血糖,低Ca血症,脱水,中毒などでかかる症状がおこる。ことに生後3日以内にくりかえすと予後は不良である。著者はここで未熟児でrecurrent apnoeaを呈した12名を報告しているが,respiratory-distress syndrome 5,肺炎1,頭蓋内出血1,その他原因不明。死亡1例(respiratory dist—ress,28週の未熟児,生後5時間でapnoea発来,IPPBを10時間目に始め,36時間つづけた)。剖検で肺虚脱,硝子膜病。こうしたapnoeaの予後がわるいのは,呼吸停止それ自体,あるいはrespiration pneu—moniaという点ばかりでなく,脳のアノキシアによる傷害による。Mc—Donald (Arch.Dis.Child.39:272,1964)は誕生時1.8kg以下,33週以前の分娩,無呼吸発作あり,酸素療法10日以上というチアノーゼ群で実に43%がcerebral diplegiaを呈した。

講座 先天性異常の早期診断とその処置・4

新生児期の異常の診断とその処置—小児科の立場から

著者: 大国真彦

ページ範囲:P.633 - P.636

はじめに
 本講座において,すてに先天性異常の種類,原因および頻度,出生時の発見について述べられているが,本稿においては新生児期における先天性異常の早期発見について述べ,その小児科的処置についても述べる。
 無脳症,四肢欠損のような大きな異常あるいは体表奇形は,出生時に直ちに見出されることが多く,産科側立場より前編において述べられているのでここでは省略する。

日常診療メモ・30

子宮頸癌手術手技のあれこれ(その2)

著者: 清水直太郎

ページ範囲:P.637 - P.641

VI.膀胱子宮窩腹膜の切開
 円靱帯の子宮側断端をもちあげ,先に少し切開した広皺襞前葉を,閉じた剪刀でさらに膜様に分離し,それが容易にできるところを伝つてしだいに子宮頸側方に腹膜切開をすすめる。腹膜剥離は膀胱の上方で頸部を横断する方向にひろげ,それにつれて横に切開する。膀胱の損傷を警戒して剥離部位が高すぎるとき,また剥離層が深すぎるときは,剥離が困難であり出血しやすい。頸部の中央で腹膜切開の膀胱縁に腹膜鉗子をかけ牽引挙上しておく(この鉗子は自在開腹鉤柄部の下を通して保持しておく)。
 これまでのV.以下の操作を左側にも行なつて子宮頸部前方の両側からの腹膜切開を連結させる。この頸部前方の腹膜切開が上述の方法で困難のときは,頸部中央で移動性のある部分の腹膜を鉗子でつまみあげておいて剪刀で横に小さく切開し,そこから閉じた剪刀の先を入れ,両側方に腹膜剥離をすすめて広皺襞前葉の切開と連続させる。

落穂拾い・12

生命の神秘?「長期冷凍保存精子の受精可能事実」に思う,驚嘆すべき「古蓮実の発芽性」

著者: 安藤畫一

ページ範囲:P.642 - P.643

まえがき
 私は本誌前々号(第20巻第6号)の『落穂拾い』欄に「人間生殖に拾い得た珍奇な落穂」と題して−79℃の超低温に,最長862日に及ぶ長期にわたり,凍結保存した精液を+37℃に加温して非自然(人工)授精に使用し,今日まで60例におよぶ正常生児を得た慶応大学婦人科,家族計画相談所(主任・飯塚理八)の驚嘆に値する研究を発表して,人間精子にのみと過信した「生命の神秘」と結論し,この神秘の片影でも知りたいとの念願で,主として慶応の北里図書館において,比較的執拗に文献を渉猟したが,遂に失望に終つた。
 しかるに前月(5月)中旬に懐しい旧友達との2回に及ぶ会談のため岡山に出向き,思い出の後楽園をくまなく散歩した際に,延養亭の南方に接する低地の小池を渡る屈折橋の左右全面に,美麗に生育しつつある蓮葉の群像を注視した。それは案内の友人笠井経夫君からの説明があつたからである。なるほど全面一様ではあるが,蓮葉の大きさが左手(東側)の小池と右手(西側)の小池とで明らかに差異があり,一様に左に大で右に小なることであつた(第1図参照)。笠井君により,左方(東)は「普通の新蓮実の発芽であり」,右方(西)は「約1,000年前の古蓮実の発芽であること」が説明されて,特に私1人は暫時の後に大なる衝撃を感じた。それは「1,000年前の古蓮実の発芽」という驚異の実況を直視したためだけでなく,既述した「精子に直観した神秘性」を思い合せたためである。

MY THERAPY in Series・46

妊娠後半期に見られる下腿痙攣症候群Leg Cramp Syndromeの治療について

著者: 宮崎好信

ページ範囲:P.644 - P.645

 Leg Cramp Syndromeとは妊娠後半期に妊婦の腓腸筋(M.Gastro—cnemius)に見られる強直性,間代性の痙攣であり,かなり烈しい痛みを伴つており,妊婦にとつては相当の苦痛であるように思われる。
 しかしその報告は比較的少なく,英独文の数編を見るだけで,わが国ではほとんど見当らない。これは恐らくわが国ではまだ本症の病態生理が明確に理解されておらず,下肢の神経痛等と混同して取扱われることもあるため,臨床医家の興味を惹かず,また成書にも記載されていないのではなからうか。しかしわれわれが妊娠時のCa代謝について研究していたところ,本症候群が予想外に多く,外来を訪れる妊婦の32.3%に見られ,症状が著明でかなりの苦痛を訴えるものが発症例の79.1%と,その大部分を占めていることが分つた。したがつて本症候群の治療も外来診療上重要なものの一つと考えられるので,その大要を御紹介してみたい。

妊婦神経痛の治療

著者: 生田基弘

ページ範囲:P.645 - P.646

 妊娠すると下腹痛・腰痛・下肢索引痛などの神経障害がしばしばみられます。この傾向は妊娠後半期にとくにいちじるしく,そのために日常の生活になんらかの支障をきたしています。下腹痛が強い妊婦では,ときに陣痛と誤り,ときには虫垂炎と誤診された例もあります。
 このような妊婦の下腹痛・下肢索引痛の特長は,(1)疼痛の部位が日時によって移動することが多く,(2)疼痛の持続時間も不定であり,(3)内診によつて骨盤壁・とくに閉鎖神経が走つているあたりに圧痛を証明できることが多く,(4)しかも,この際にはしばしば季肋部・側腹部・鼠径部・大腿内側・腰部などに痛みが放散します。

私の座右書

感銘深き名著との出会い

著者: 野嶽幸雄

ページ範囲:P.646 - P.646

 教職にある身として,常に最新の知見に留意する義務を負う私にとり絶え間なく到着する内外の新刊書や雑誌が文字通り座右書となつている。しかしそれらはまもなく机上から書棚に移されて座後書になつてしまう。この目まぐるしい閲読に際し私の脳裡にいつも浮ぶのはフランスの哲学者アランが与えた教養人の定義である。曰く「あらゆるものを読み,あらゆることを知り,あらゆることを忘却し洗練された精神のみを残し得る者」と。
 著書においてもまた然りで,その具象化の代表としてGreenhill,Ea—stman,Novak等の名著をあげ得ようか。

研究

ESTROGENSのGAS CHROMATOGRAPHY

著者: 鈴木雅洲 ,   広井正彦

ページ範囲:P.647 - P.653

はじめに
 今日,われわれの利用しうる分析手段のうちで,最も適用範囲の広く正確迅速な方法はgas chro—matography以外にないといわれ,steroidの分析測定には必要欠くべからざる手段となつて来ている。近年,steroidsのgas chromatographyを応用した分析定量に関する報告を多くみるが,決して満足すべき状態に達していない現況である。これはsteroidsのgas chromatography自体の歴史があさく,十分その機能が発揮できない点と同時に,臨床検査法としてまたは代謝の研究に応用されるのには余りにもsteroidsが微量にしか混在していないことによるとも考えられる。
 著者らは現在estrogensのgas chromatogra—phyについて検討中であるが,ここに最近の文献よりestrogensのgas chromatographyの研究の大要を紹介したい。

臨床

腹膜妊娠の1例

著者: 滝沢晴雄 ,   太田哲夫 ,   桜井皓一郎

ページ範囲:P.654 - P.656

はじめに
 子宮外妊娠の中でも腹膜妊娠はきわめてまれなものであり,術前の確定診断の困難な場合が多い。我々は今回卵管妊娠の疑いの下に開腹,術後の組織検査により腹膜妊娠と判明した1例を経験したのでその概要につき報告する。

妊娠に合併した疱疹状膿痂疹の1例

著者: 早川澄夫 ,   斎藤恭一 ,   佐藤正年

ページ範囲:P.657 - P.659

はじめに
 疱疹状膿痂疹は産婦人科ならびに皮膚科領域において非常にまれな疾患でありかつその死亡率もかなり高率といわれている。最近われわれはその一例を経験したので報告する。

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学会ニュース

ページ範囲:P.656 - P.656

日本産科婦人科学会臨床大会(第2回)
期 日 昭和41年10月29日(土)〜30日(日)
会 場 大阪市・フェスティバルホール,関電ホール

薬の臨床

メサルモンFの臨床使用経験

著者: 福田透 ,   曾根原衛雄 ,   松浦敏男 ,   桜井皓一郎

ページ範囲:P.663 - P.666

はじめに
 更年期障害をはじめとする卵巣機能の失調症は婦人科一般診療上しばしば遭遇する疾患であるが,それらの治療,特にホルモン療法を行なう際にしばしばその難かしさを痛感させられる。これはは一つにはホルモン失調というcategoryの下に一括される疾患の解明がまだ十分でないことと,さらに生体内における複雑なホルモンバランスの内容や動向の詳細が不明であり,真の生理的バランスを再建することが非常に困難である事に基づくものと考えられる。今日,ホルモンには種々なものが知られているが,それらは生体内にあつて綜合的なバランスの上に身体代謝機能を調整しているものとみられ,この意味から1・2のホルモンの終末的産物を与えたとしても,適切な治療が行ないえないことは明らかである。これに対し最近新しいsteroid合成剤「メサルモンF」は性ステロイドの前駆物質あるいは中間代謝物質を投与して,生体自らの代謝サイクルにのせ,円滑な身体機能をはかることを目的とした薬剤として近時注目されている。吾々は,今回本剤(日本臓器)の提供を受け2,3の検討を試行したので今日までの成績につき報告する。
 なおメサルモンF錠は,卵巣や副腎における中間代謝物質であるプレグネノロン,アンドロステンジオン,アンドロステジオールの他,向性腺作用を目的とした,テストステロン,エストロン,及び甲状腺末を含有している製剤である。

老人性腟炎および腟炎に対するエロジオン腟錠の治療経験

著者: 一宮勝也 ,   吉田種臣 ,   石田雅巳 ,   高間高

ページ範囲:P.667 - P.668

はじめに
 産婦人科外来において,もつとも頻度の多い疾患は子宮腟部糜爛,ついで腟炎である。また腟炎はしばしば子宮腟部糜爛に合併して起こり,老人においても,ホルモン失調性が原因と思われるいわゆる老人性腟炎がみられるものも多い。
 炎症性の腟炎においては,炎症除去を第1とするが,炎症によつて荒らされた腟および子宮頸部の上皮の再生および正常化は単に自己の細胞賦活作用のみに頼よつている現状である。

Mestranol錠およびMestranol-Chlormadinone acetate混合錠の連続経口投与の原発性無月経ならびに無排卵症におよぼす効果

著者: 赤須文男 ,   安達弘章

ページ範囲:P.669 - P.676

はじめに
 いわゆるKaufmann KurとしてのEstrogenおよびProgesteroneの周期的投与の適応には,次のものをあげることができる。
 1) 月経異常:機能性出血(頻発月経,過多月        経),無月経,稀発月経,過少月        経,排卵誘発,月経困難症,月        経前緊張症

ビタメジンの臨床経験

著者: 高見沢裕吉 ,   高野昇 ,   新井一夫 ,   工藤純孝 ,   具田豊郷

ページ範囲:P.677 - P.681

はじめに
 ビタミン研究の進歩に従いビタミンB群についても,その化学構造とともに生体内作用機序が明らかにされつつある。ビタミンB群は細胞の組織吸収に際し糖質の酸化過程には必須のものとして重要な意義を知られているが,この中でもB1は抗神経炎,抗脚気性のビタミンとして,B6は抗皮膚炎因子として,またB12は抗悪性貧血因子として臨床上用いられている。近年生化学酵素学の進歩と共に,B群の活性化の問題が明らかにされ,各々アミノ酸代謝,蛋白代謝,脂質代謝,糖質代謝に関与する機序も解明されてきた。
 今回われわれは三共K.Kより,活性型B1,B6B12の配合されているビタメジンの提供を受け,臨床使用する機会をえたので以下述べたいと思う。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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