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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科21巻10号

1967年10月発行

文献概要

研究

器官培養法とその意義について

著者: 大吉繁男1 有働俊一1 佐藤陽一1 高橋孝友1

所属機関: 1九州大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.783 - P.787

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I.器官培養とは
 生体組織をin vitroで培養するとき,組織や細胞の増殖をできるだけ盛んにすれば,組織の構成細胞は急速に培養基中に移住し,単一細胞の場合には分裂をくり返して単層の細胞層を形成する。このような培養法では,細胞の増殖過程に急激な選択や淘汰がおこなわれ,原組織の特性,たとえば,細胞の形態,酵素活性,放射線感受性,ウイルス感受性,ホルモン分泌能力,抗原性,分化能,染色体構成などの変化や消失が起こるといわれている。そこで,このような器官または組織を体外に取出して培養したのちも,できるだけ,もとの器官や組織の特性を保持させながら,もとの生体内におけると同様な成長や分化をおこなわせる方法が器官培養である。"un—organized (cytotypic) growth"と "organized (orga—notypic) growth"とを最初に明確に記載したのはMaxi—mow (1925)1)であるが,器官培養はいうまでもなく後者を意味する。換言すれば,2次元の培養でなく,3次元の培養であり,東大中井準之助教授2)は,立体培養stereocultureというのが適当であろうという意見をのべておられる。
 Loeb (1897)3)は成熟家兎の肝臓,腎臓,甲状腺,卵巣の小片を試験管内で少量の血清と血漿中に浮游させて,正常な組織構造が3日間維持されることを発見した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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