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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科21巻12号

1967年12月発行

文献概要

薬の臨床

子宮頸癌手術後尿路感染の実態とR−657(Hippramine)による治療経験

著者: 関場香1 新太喜治1 秋本晄久1 砂山有生1

所属機関: 1岡山大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.1009 - P.1012

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はじめに
 子宮頸癌根治手術後の排尿障害対策についてこれまてにも多数の報告がなされているが,現在なお適確なる効果を期待できるものはない。我々の子宮頸癌手術療法は岡林式広汎子宮剔除術を基本術式とし,術後は岡大式尿路管理法を行なつている。
 すなわち,術後手術場にて尿道をヘガール氏拡張器で14号まで拡張し,15号ネラトンカテーテルを5日間留置し,術後6日目の朝抜去して後4時間毎の定時導尿,即ち自尿試験を開始する。自尿試験中は毎回残尿量を測定し,残尿量50cc以下が3日間連続すれば自尿試験終了ときめている。この自尿試験後5〜6日してなお成績不良の場合には,ヘガール氏拡張器13号ぐらいまで尿道拡張を2〜3日連続施行し,更に副交感神経刺激剤,下垂体後葉製剤等を併用している。しかし,留置カテーテル及び時間導尿は,婦人の外尿道口部の解剖的特徴および手術後の膀胱麻痺ならびに尿管走行の異常,狭穿等によつて,上行性尿路感染症の機会を非常に多くしている。しかも尿路感染症は膀胱機能の回復を遅らせ,予後にも影響を与える重大な問題である。加うるに近年は多種の抗生物質の乱用による耐性菌の出現により,尿路感染症の早期根治が困難となりつつある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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