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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科21巻2号

1967年02月発行

文献概要

誌上シンポジウム"新生児"・2 妊娠時の障害

胎盤と胎児—エストリオールをめぐつて

著者: 中山徹也1

所属機関: 1東京大学産婦人科

ページ範囲:P.121 - P.123

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 胎盤機能面で一番大きな問題は母児間の酸素の交換だと思います。これは胎児の生命と最も直結していると思われる機能でありますが,このようなガス交換機能の他に,胎盤には内分泌機能があることがよく知られております。一番初めにわかりましたのは絨毛性のゴナドトロピンでありまして,妊娠の早期診断に広く用いられているのは御承知の通りであります。ところがわれわれ産婦人科医にとりましてもう一つぜひ知りたいのは,妊娠末期の胎児—胎盤機能であります。
 絨毛性ゴナドトロピンの値はこの時期には著しく低くなりまして胎盤の活性度,従つて胎児のvitalityの細かい変化を診るには不適当であります。ところが胎盤には性ステロイド特にプロゲステロンおよびエストロゲンを産生する機能もありまして,この方は妊娠末期になるに従つて,値いが高くなつてまいります。すなわち胎盤ならびに胎児の発育に平行して性ステロイドの産生は増大すると考えられるのです。従つて性ステロイドを計ることによつて,胎盤の機能あるいは胎児の活性度を知る方法が臨床的に取上げられてきたわけです。その中でわたしどもは,エストロゲンについて研究してまいりました。特に母体の尿中エストリオールの排泄量から,胎児胎盤系の様子がわからないかということを,小林教授の御指導でやつております。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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