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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科21巻2号

1967年02月発行

文献概要

誌上シンポジウム"新生児"・2 妊娠時の障害

妊娠中毒症と新生児

著者: 田中敏晴12

所属機関: 1東京警察病院産婦人科 2東京大学産婦人科

ページ範囲:P.124 - P.127

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 それではいままで基礎的にいろいろ形態学的に,あるいはエストリオールの面から,胎盤と胎児という問題が触れられましたので,わたしは,胎児胎盤系に障害が生じやすい疾患の代表とされる妊娠中毒症につきまして,児の未熟あるいは死亡という問題に関連して,臨床的なお話を少ししてみたいと思います。妊娠中毒症では表1のごとく,子宮内胎児死亡あるいは未熟児出生頻度などが高く,教室の統計でも,未熟児出生率は,非中毒症の場合5,6%ですが,重症中毒症では,25%という非常な高率を示しています。
 早産率の高いということが,児の未熟の1つの大きな原因であることは事実ですが,満期産の未熟児出生率をみても,非中毒症では,2.4%に対して,重症中毒症では,11.5%と,高率であります。さらに児について主として未熟児を生下時体重で500gずつの区分別けをして,その死亡率,仮死率を調べてみますと,各体重群において,妊娠中毒症母体からの児は,対象の非中毒症母体からの児に比較して,常に2倍ないし3倍の児死亡率,仮死率を示し,明らかな差が見られています。以上総合して,妊娠中毒症母体から出産した児は,体重という量的な面で劣ることが多いだけでなく,生活力ないし生命力というような質的な面でも劣つた児が多いのではないかということも,考えなければならないと思います(図1)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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