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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科21巻4号

1967年04月発行

文献概要

特集 絨毛性腫瘍の化学療法

制癌剤による局所灌流療法

著者: 鈴木雅洲1 関塚正昭1 長谷川敬三1 重田孝二1

所属機関: 1新潟大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.285 - P.290

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はじめに
 従来,絨毛性腫瘍の治療方法は,手術療法がその主流を占め,化学療法,放射線療法などは補助的な治療の域を脱しなかつた。しかし,1959年,Li,Herz,Spencerらにより葉酸の代謝拮抗剤である Amethopterin (商品名Methotrexate,M—TXと略)の本疾患に対する有効性が報告されて以来,広く追試され,これまでの抗癌剤に比較して数段とすぐれた薬剤であることが認められ,その成績が報告されてきた。MTXの出現により,絨毛性腫瘍に対する化学療法の役割が重要視され,手術療法に匹敵するまでに考えられるようになつてきた。しかし,これのみですべての患者を治癒させるまでには至らず,手術療法,放射線療法などとの併用によつてはじめてその効果が発揮される場合も少なくない。絨毛性腫瘍の化学療法の歴史は古く,抗癌剤の開発とともに始まつている。MTXの出現をみるまでの薬剤は,破壊性胞状奇胎(破奇と略)に対しては,その効果がある程度期待できても,絨毛上皮腫(絨腫と略)に対する効果ははるかに低く,ことに遠隔転移を形成した場合はほとんど無力に等しかつた。
 絨毛性腫瘍は他の悪性腫瘍に比較すると,最も化学療法に適した疾患と考えられている。その理由は,1)宿主にとつて寄生的な性格が強く,2)流動血に直接触れた環境において増殖するため,薬剤の作用が及びやすい,3)しぼしば,手術の限界を越えた広汎な遠隔転移を形成する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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