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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科21巻8号

1967年08月発行

特集 子宮頸癌の手術療法--その5つの問題点をめぐつて

特に転移陽性リンパ節廓清の問題について

著者: 西村敏雄1

所属機関: 1京都大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.619 - P.621

文献概要

I. リンパ節廓清の時期および範囲
 原発巣ならびに転移巣の完全剔出は,悪性腫瘍根治手術の鉄則であり,我々の教室においては古くからこの点に多くの努力が積み重ねられ,特に基靱帯の処理法を中心として検討が重ねられ,高山術式を経て現今わが国の子宮頸癌根治手術の根幹をなす岡林術式が確立され,さらに三林術式の開発により基靱帯処理問題はほぼ完全な解決を見るに至つたといつてもよい。この間,単に原発巣完全削出に止まらず骨盤リンパ節廓清や,術後の放射線療法にも改善のための努力が重ねられたことはいうまでもない。
 一方,教室における頸癌治療統計を詳細に分析してみるに,当然のこととはいうものの,骨盤リンパ節転移のあつた頸癌手術症例の治療成績は,無転移例のそれにくらべ著しく悪いことが判明した。すなわち昭和30年より昭和34年に至る5年間の統計(表1)からみれば,無転移症例では77.4%の永久治癒率を挙げたのに対し,有転移例ではわずかにその40.2%が5年治癒を得たに過ぎない。この数値の差が大きいことは,とりも直さず,リンパ節廓清に関しては一層の努力を必要とすることを物語つているとはいえないだろうか。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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