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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科21巻8号

1967年08月発行

特集 子宮頸癌の手術療法--その5つの問題点をめぐつて

リンパ節廓清および術後後遺症対策

著者: 三谷靖1

所属機関: 1長崎大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.622 - P.624

文献概要

I. リンパ節廓清の時期および範囲
 リンパ節の廓清は私共は原則として子宮剔除前に行なつている。その理由はリンパ節廓清は決して子宮や基靱帯の剔除に従属するものではなく,重要性に於いて同価値と考えられるので,1)手術開始直後のあまり疲れていない間に行なう,2)子宮剔除前にあらかじめリンパ節廓清を行なうと,外腸骨動静脈,内腸骨動静脈の骨盤腔内にある部分や分枝がはつきりし,子宮動静脈の走行や閉鎖神経の走行がはつきりし,その後の操作がやりやすくなる,3)腫瘍細胞のリンパ管内や静脈への侵入,移動は原発巣の部分を動かすような操作によつて促進されることが,臨床的にも実験的にも証明されているので,あらかじめこの通路を遮断する意味で,先にリンパ節廓清を行なつた方がよいと考えられること,4)リンパ節廓清が不可能である時は手術の目的が達成できぬので,特にリンパ節の癒着の予想される時はまずリンパ節廓清を試みるのが合目的である,などの理由によつている。
 普通子宮を固定し,両側の円靱帯(子宮円索)ついで骨盤漏斗靱帯(卵巣提索)を切断し,両側子宮広間膜を切開した後,総腸骨血管,外腸骨動静脈,下腹動静脈,閉鎖血管,閉鎖神経周辺のリンパ節,すなわち総腸骨リンパ節(上腸骨リンパ節),外腸骨リンパ節,下腹リンパ節,閉鎖リンパ節等を周囲の脂肪組織と共に剔除する。なおこの際,外腸骨血管の下方にあるいわゆる深鼠径リンパ節も十分に廓清する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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