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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科22巻2号

1968年02月発行

特集 最近の産科感染症--その診断と治療

産科領域におけるグラム陰性桿菌感染症

著者: 青河寛次12

所属機関: 1京都府立医科大学産婦人科教室 2国立舞鶴病院産婦人科

ページ範囲:P.107 - P.114

文献概要

I.産褥感染起炎菌の推移
 産褥熱の発生は,化学療法の普及により今日ほとんどその姿を消したものと一般に考えられており,産褥感染が産科学における最も重要な課題であつたのはすでに往昔に属するとされている。産褥熱の発症率は,たとえば,真柄教授の調査(1965年)によると,表1の通りであつて,化学療法以前:6.6%に比し,サルファ剤期:10.7%,抗生物質期:1.5%であり,また,産褥熱による死亡率の推移を厚生省統計からみると,化学療法以前:0.066%に比し,サルファ剤期:0.028%,抗生物質期:0.011%と漸減している。
 このように,高熱を発し重篤な全身症状を招くいわゆる産褥熱は,明らかに激減しており,これは,従前からの産褥熱起炎菌の推移と密接に関連するものと解せられる。すなわち,化学療法以前には好気性溶血性レンサ球菌が数10〜80%を占めており,本菌は毒力もつよく,全身性の伝播傾向も著しかつたのである。しかし,溶連菌は抗生物質にきわめてすぐれた感受性を有するため,Penicillinをはじめとする化学療法により,現在では産褥熱起炎菌としての意味に乏しくなつている。そして,グラム陰性桿菌(G.N.B.)とブドウ球菌が産褥感染の起炎菌としての立場を占めてきているのが現況である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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