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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科22巻2号

1968年02月発行

文献概要

特集 最近の産科感染症--その診断と治療

動物感染菌による感染症—主としてリステリア症について

著者: 相馬広明1

所属機関: 1東京医科大学産婦人科教室

ページ範囲:P.137 - P.140

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はじめに
 最近の新聞で英国に家蓄の疫病が猛烈な勢いで流行しており,すでに18万頭が処分されたとあつたが,その病気は口蹄疫でビールス感染による。もしもこの口蹄疫にかかつた家蓄の乳あるいは肉を飲食した場合の人体への影響は致命的ではないが,骨髄にビールスは6ヵ月間生き続けるという報道が,人々に脅威を与えているという。このように家畜動物のもつ感染菌がもしも人体に感染した場合の障害については,たとえば古くはマルタ熱があるが,これは山羊のもつグルセラ・マルタ熱菌による感染である。またOxon等の報告によると,英国のある地方に見られる波状熱や関節炎が,乳牛と常時接する農夫や獣医などに多く,むしろ一種の職業病ともいわれ,それがブルセラ・ウシ流産菌による感染であろうとのべているように,家畜を扱う地方では等閑視できない問題となつている。最近本邦では輸入家畜動物が増加しており,そのような家畜伝染病がいつ蔓延するとも限らないし,一方本邦でも動物感染菌による人体感染例が招来されているので,特にトキソプラスマ感染を除いた他の動物感染菌による妊娠時の感染について紹介することも無意味ではあるまい。まず,トキソプラスマ症についで注目されているのはリステリア症である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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