文献詳細
症例特集 新生児異常
Ischiopagus tetrapus—1症例と分離手術
著者: 浮田昌彦12 兼吉章2 川崎満雄1 山田順常1 藤岡十郎3 鎌田正勝3 菅田元義3 鶴海寛治4 松尾光雄5 石田厳6 松田篤次6
所属機関: 1京都大学医学部産婦人科教室 2倉敷中央病院産婦人科 3倉敷中央病院外科 4倉敷中央病院整形外科 5倉敷中央病院泌尿器科 6倉敷中央病院小児科
ページ範囲:P.201 - P.206
文献概要
一卵性双胎の発生過程において両児の分離が完全でなく,その一部あるいは大部分において結合した重複奇形はきわめてまれなもので,Zange-meisterによれば全奇形の0.4%,Potterによれば60,000の分娩中1例,原・兼森は8,043の分娩中2例,石井によれば35,000の分娩中2例といわれている。重複奇形は妊娠中に流産に終ることが多いが,たとえ妊娠9〜10ヵ月まで在胎しても,難産のため死産に終ることが多く,まれに生産された場合でも生後まもなく死亡するものが大部分をしめる。まれには結合したままかなり高令まで生存した例も報告されており,時には分離手術も試みられているが成功例は少ない。
ここに報告するのは骨盤で結合したischiopagustetrapusの1例で,生後82日目に分離手術を施行し,1児は術後41日目に死亡したが,他児は生後9ヵ月の現在まで順調な発育をとげている。
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