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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科22巻6号

1968年06月発行

文献概要

研究

子宮筋腫を合併した妊娠,分娩の管理について

著者: 長瀬行之1 大久保克祐1 岡富峻1 吉井幸洋1 長谷川潜1

所属機関: 1自衛隊中央病院産婦人科

ページ範囲:P.497 - P.507

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はじめに
 子宮筋腫を有する患者は,一般に妊娠しにくいといわれている。文献によると,妊娠と子宮筋腫が合併する頻度は確かに低く,無症状のため見のがされるくらいの小さいものを含めてもせいぜい1%内外である。
 子宮筋腫と妊娠が合併した場合に,その相互間に及しあう影響については,後述するごとき事項が,成書に一応あげられてはいる。しかし詳細な記述がないのが普通であつて,一般には,恐らく流早産という形で妊娠が終了するであろうと考えられているようである。この考え方が果して正しいのか,いいかえれば,流早産に終るであろうという一般の考え方がそもそも間違いで,放置しておいても満期産あるいはその近くまで持込める場合が意外に多いものなのか,また,放置すれば流早産に終るということが事実であつたとしても,管理の方法さえうまくやれば,何とか生児をえられるのではなかろうか,という,臨床的には極めて切実な問題に関しては,現在までのところ,確とした解答が出ていないように思う。この問題を解決するためには,個々の症例についての治療実験をつみ重ねていくことが必要なのであるが,現在のわが国の社会水準では,入院費や,家庭事情の問題から,それがほとんど不可能な状態である。このことが問題を解決する上に最も大きな障害になつているように思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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