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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科22巻7号

1968年07月発行

誌上シンポジウム 妊娠と腎炎

混合型妊娠中毒症をめぐる内科との接点

産科の立場から

著者: 田中敏晴1

所属機関: 1東京警察病院産婦人科

ページ範囲:P.558 - P.562

文献概要

 先ず産科学の立場から,慢性腎炎の患者が妊娠し,その経過中に高血圧,あるいは蛋白尿または両者の発現または増強が見られた場合,これを腎炎の悪化とするか,妊娠中毒症の加重Superimposeが起こつたとするか,--いわゆる混合型中毒症Superimposed toxaemiaという概念を適用するか,少し考察してみたいと思う。
 血管,腎系の基礎疾患——例えば本態性高血圧症妊婦では妊娠経過中に急激な血圧上昇(30mmHg以上の収縮期圧上昇)や高度の蛋白尿,浮腫の発現が見られた場合は,臨床的にも中毒症加重を当然考えることになるが,病理学的にもアルチエックは腎生検の電子顕微鏡所見上,糸球体内皮細胞および基底膜下にDepositが存在することをもつて中毒症特有の所見とし,本態性高血圧症の患者に中毒症が加重した症例と加重していない症例とを電顕所見によつて区別できると述べている。しかしこの場合,問題のrenal diseaseについてはこの点が極めて困難で症候論的にも,病理学的にもSuperimposedtoxaemiaを明確に区分する方法がないと考えられている。この点についてはまた後に症例をあげて論じてみたいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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