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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科22巻7号

1968年07月発行

誌上シンポジウム 妊娠と腎炎

混合型妊娠中毒症をめぐる内科との接点

内科の立場から

著者: 加藤暎一1 樋口順三1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部内科

ページ範囲:P.562 - P.567

文献概要

 正常の妊娠でも電子顕微鏡的検索を行なうと腎にある程度の変化があるということでありますので,腎炎を既往に持つている患者の妊娠に関してはいろいろ検討を要する問題があると思う。日常の臨床で私どもが一番困惑することは子供がぜひほしいという腎炎患者に妊娠をどの程度まで許していいのか。また既に妊娠しているようなケースを見ていくときにどこまで妊娠を継続させていいかという判断である。私どもは慢性腎炎のfollow upstudyを行なつているので,その中から妊娠との関係がある症例を選び出して検討を加えてみた。その内訳は表1のごとく,私どもの病院に昭和30年から40年の間に入院し,退院後に妊娠したという21例,それから当院の腎臓外来に通院している患者でて妊娠の可否を問われて許可を与えて妊娠したもの,あるいは妊娠してしまつたがその継続に関して観察を産科から依頼されたようなケース24例,計45例の観察の成績を述べる。これ等の症例を表2にしたがつて腎炎の状態で分けますと,私どもが考えて明らかに治癒してしまつたという症例が妊娠をしたのが27例である。それから私どもの慢性腎炎の分類で潜在期,いわゆるきわめて軽度の蛋白尿と赤血球は1視野に1,2個,血圧は正常で腎機能も先ほど田中先生がいわれた70cc/min以上であり,これらが運動によつても悪化しないという潜在期にあつたものが14例,それから上述のcriteriaには当はまらない,すなわち血尿,蛋白尿血圧,あるいは腎機能いずれかの面で広義の進行期にあつたと思われるものが4例である。そして結論が先になるが,この4例は妊娠,出産によつて全例悪化している。それから比較対照のために妊娠中毒症の初発例あるいは再発例合わせて40例を検討している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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