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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科23巻10号

1969年10月発行

文献概要

特集 新生児薬物療法

新生児肺炎

著者: 安達寿夫1

所属機関: 1東北大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.851 - P.853

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はじめに
 新生児肺炎は新生児感染症のなかで最も多いものであるが,重症となるまでは症状や診断に決め手となる特異的な症状がないので,薬物療法も疑診の段階とか,または全く予防的に使用されることがむしろ多い。たとえば,前早期破水,遷延分娩,母体発熱などがあつて生まれた児,産科手術で生まれた児,仮死出生児,羊水過度吸引児,肺不全児,嘔吐頻発の児,交換輸血をした児など,全出生児に対して相当の頻度の児が新生児肺炎予防のための抗生物質療法を受けている。
 この予防的抗生物質投与の頻度が高まるとともに,新生児の抗生物質による副作用が問題となつた。gray syndromeが注目されるきつかけになつたクロラムフェニコール中毒の論文に見られるように,予防的抗生剤使用期間の方がかえつて新生児死亡率が何倍も高かつたということさえあつた。この予防的抗生剤投与は耐性菌が多くなつて,実際に感染症を生じたときに有効な抗生剤が無くなるという副作用とは別の問題もある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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