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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科23巻11号

1969年11月発行

特集 産婦人科

今日の焦点・Ⅰ

ステロイドによる副腎皮質不全

著者: 赤須文男1

所属機関: 1金沢大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.935 - P.939

文献概要

はじめに
 ステロイドというのは,ここでは副腎皮質ステロイドのことであると思う。周知のごとく,副腎皮質からはcortisolなどの糖質コルチコイド,dehydroepiandrosteroneなどの17-ketosteroids(いわゆる男性ホルモン),aldosteroneなどの鉱質コルチコイドの3種が分泌されているが,執筆を依頼されたステロイドというのは糖質コルチコイドをさすものであり,いわゆるステロイド療法を行なつたときに起こる副腎皮質不全adrenal corticalinsufficiencyであると思う。
 Addison病のような副腎自体にホルモン分泌能の欠如あるいは不全のものは内科的に加療されるものであり,わが領域においてはあまり問題にはならない。もつともAddison病患者が妊娠した場合には,内科との協力治療が必要であろう。とにかく副腎自体の異常によるものはprimary adre-nal cortical insufficiencyで,本テーマ外のものである。これに対して,2次性secondaryのものとして下垂体ACTH分泌不全によるものがある。もちろん,これは下垂体自体に器質的の疾病があり,惹起されることもあるが,ステロイド療法を長期に,大量続行すれば,feed backで下垂体は抑制される。その結果,cortisolなどの糖質コルチコイドや17-keto-steroidsの分泌は低下する。けれどもACTH支配外であるaldosteroneの分泌には異常は起こらない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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