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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科23巻12号

1969年12月発行

文献概要

特集 産婦人科 今日の焦点・Ⅱ

Human Placental Lactogen(HPL)

著者: 東條伸平1 望月真人1 村田孝美1 森川肇1 都倉康正1 水沢富一1 田椋田享1

所属機関: 1神戸大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.1027 - P.1034

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はじめに
 human placental lactogen(HPL)が胎盤で産生されているらしいことを最初に報告したのはEhrhardt (1936)1)であるが,本格的にこの物質について研究を始めたのは本邦の研究者達(福島,伊藤,東2),黒崎3)(1961)である。彼らは胎盤からHPLの抽出を行ない,そのphysicochemicalな性格についてまで詳細な報告を行なつたが,1962年に至りJosimowich and MacLaren4)らが妊婦血清,胎盤および胎盤後血からhuman pituitarygrowth hormone (HGH)と免疫学的にpartialimmunological identityをしめす物質を分離するにおよんで,胎盤でのこの物質の存在が学界にclose upされるようになつた。
 胎盤で産生される蛋白ホルモンのうち,humanchorionic gonadotropin(HCG)の研究は主として生物学的な方面から始まつたのに対し,HPLの研究はこのように免疫学的な方面から始まつており,興味ある対象をなしている。またこの物質の名称も伊藤ら(1961)はprolactin-like substance,Sciarraら(1963)5)はhuman chorionic growthhormone-prolactin (CPG),Josimowichら(1962)はhuman placental lactogen(HPL),Friesen(1956)6)はplacental protein(PP),Flrorini(1966)7)はpurified placental protein(PPPH)などと呼び,研究者によつて異なつている。このようなことは,HPLについての研究がまだ初歩段階にあり,統一された見解がみられないことを意味しているものであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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