icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科23巻12号

1969年12月発行

外国文献

卵巣偽粘液性腺嚢胞

ページ範囲:P.1060 - P.1060

文献概要

 後腹膜にP.C.が見い出されたのはBassini(1889)の旧きにさかのぼるが,主訴は圧迫感疼痛などすくなく,また諸検査で診断しにくい。もつとも有力な方法はIVPと逆行性pyelogramで,本腫瘍が後腹膜にあつて,かつ尿管を偏位せしめているところから想定される。さて著者の例は44歳,1956年左季肋部に腫瘤を触れ,その後10年やや拡大し,圧迫症状・疼痛を現わしてきた。1966年11月入院。患者は聾唖で,口蓋破裂があつた。27歳結婚,帝王切開で1児を産んだ。腫瘤は脾と考えられたが,腹部膨満,左季肋から臍高位までの大きい硬い腫瘤で,IVPで左腎が不完全充盈,血液異常なし。開腹すると,左腎付近から発した30×23×15cmの後腹膜大腫瘤で,膵,脾,腸への血管がその上を横ぎつている。被膜あり,完全剥離切除に成功,一部solid,一部cysticでmucoid fluidを含む。pseudomucinous cystadenomaと決定。全治。本症は発見は古いが,報告例数は少ない。本例は正常卵巣は精査しなかつたが,文献にもそうしたものが多い。したがつて骨盤に正常卵巣が1対存しているか否か十分あきらかでない。そこでundescen-ded ectopic ovaryか,supernume-rary ovaryか確実でない。また,そのいずれとも思われる報告例があるようである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら