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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科23巻4号

1969年04月発行

文献概要

特集 免疫に関する問題点

精子免疫と不妊

著者: 大谷善彦12

所属機関: 1熊本大学医学部産婦人科学教室 2九州厚生年金病院産婦人科

ページ範囲:P.285 - P.288

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はじめに
 婦人が性交の結果,精液成分が吸収され,これに対する抗体がもし生じることがあれば,この抗体は精子と抗原抗体反応を起こし,精子は障害され,その結果,かかる婦人は不妊となることがあるのではないだろうか。これがいわゆる精子免疫による女性不妊で,このような疑問は古くからあつたが,1899年,Landsteinerと Metchnikoffがそれぞれ睾丸乳剤で免疫したモルモットの血清が,精子を凝集あるいは不動化することを報告して以来,睾丸乳剤,精子,精液などで免疫された雌動物の妊孕性が低下するとの報告が相次いでなされたが,他方,この事実を否定する諸実験も多く現われ,約60年が経過した。しかるに最近の免疫学の進歩に伴い,このような免疫で雌動物の妊孕性が著減することが確認され,該免疫血清の受動免疫によつても同様の現象が惹起されることが明らかとなつた。
 また雄動物を同様の抗原で免疫すると造精機能が障害されるが,これは抗血清による受動免疫では正常動物に惹起させることができず,免疫動物リンパ球の移入で発生させうることも判明した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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