文献詳細
文献概要
特集 免疫に関する問題点
癌と免疫
著者: 高見沢裕吉1 工藤純孝1
所属機関: 1千葉大学医学部産婦人科教室
ページ範囲:P.315 - P.322
文献購入ページに移動はじめに
ヒト癌の自然退行現象については,古くから多くの臨床家や病理学者の注目をひいているところである。その結果,稀有ではあるがヒト癌自然治癒の存在が確実とされている1〜3)。また多くの癌は臨床的に診断されるよりはるかに以前に体内に潜伏しているが,癌が全体として発育定着するには組織培養と同じく,癌細胞の限界量が必要とされている4)。また癌患者血中より,多くの癌細胞を検出しえても,その多くは転移を発生しえない。この種の抵抗の原因が何であるか不明であるが,かかる現象を免疫学的に説明するのが最も当を得ているようである。癌免疫については不明の問題が多く,免疫現象をヒト,動物について理解するために,AutoからIso. Homo. Heteroの免疫にまで拡大,特異抗原を解明し,さらに診断,治療に試用されているが,まだ個々の事実を述べている段階にすぎない。われわれ臨床家がこれを述べることは潜越であるが,編集の要請により,以下その概略を述べ,あわせて絨毛上皮腫についても免疫学的関連性を述べてみたいと思う。
ヒト癌の自然退行現象については,古くから多くの臨床家や病理学者の注目をひいているところである。その結果,稀有ではあるがヒト癌自然治癒の存在が確実とされている1〜3)。また多くの癌は臨床的に診断されるよりはるかに以前に体内に潜伏しているが,癌が全体として発育定着するには組織培養と同じく,癌細胞の限界量が必要とされている4)。また癌患者血中より,多くの癌細胞を検出しえても,その多くは転移を発生しえない。この種の抵抗の原因が何であるか不明であるが,かかる現象を免疫学的に説明するのが最も当を得ているようである。癌免疫については不明の問題が多く,免疫現象をヒト,動物について理解するために,AutoからIso. Homo. Heteroの免疫にまで拡大,特異抗原を解明し,さらに診断,治療に試用されているが,まだ個々の事実を述べている段階にすぎない。われわれ臨床家がこれを述べることは潜越であるが,編集の要請により,以下その概略を述べ,あわせて絨毛上皮腫についても免疫学的関連性を述べてみたいと思う。
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