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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科23巻5号

1969年05月発行

特集 卵管--その生理と臨床

卵管の分泌

著者: 飯塚理八1 鈴木秋悦1 今井敏郎1 近藤慶明1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.375 - P.384

文献概要

はじめに
 卵管は子宮,卵巣両臓器間のbridgeとして,主に,その解剖学的意義が強調されてきたが,最近,受精現象の生物学,受精卵の初期発生過程に関する研究が進むにつれて,卵管環境の生殖生物学(Reproductive Biology)上での意義が再認識されてきた。臨床的にも,不妊症の病態生理上で卵管が重要な因子を占めていることは,多くの研究によつて明らかにされてきたが,主として卵管の器質的障害が論じられ,卵管機能の根本的な問題である機能面については,方法論的な難しさもあつて余り報告がない。器質障害の改善による卵管の疎通性の向上が,妊孕性の向上に与つていることは勿論であるが,さらに,精子,卵子,受精および受精卵の初期発生などの環境としての卵管の生物学的意義に注日する必要がある。
 卵管上皮に分泌機能が存在することは,比較的古くから知られていたが,主として,卵管上皮に対する形態学的な研究であり,卵管分泌液の卵管環境における意義については明らかにされていなかつた。しかるに,最近に至り,Mastroianniらによる種々の卵管分泌液採取法が報告され,その生化学的組成の分析も可能となつてきた。さらに,Suzuki & Mastroianni1)(1965)が,家兎卵を用いて,家兎卵管分泌液中でのin vitroでの受精に成功し,卵管環境の生殖機構での意義が次第に明らかにされてきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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