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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科23巻9号

1969年09月発行

文献概要

特集 分娩時出血--メカニズムとその対策

分娩時出血に対する薬剤の効果

著者: 相馬広明1 中井才扛1 青木徹1 小柳賢一1 舟山達1

所属機関: 1東京医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.767 - P.771

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はじめに
 分娩時の出血を左右する因子としては,いろいろの条件があげられている。したがつてこれらの諸条件による影響をまず考えに入れてから,分娩時の出血量の測定を行なう必要がある。しかしその前に非常に大切なことは,その際の分娩時出血量の測定法の問題であろう。たとえば,その測定に厳密な意味での重量法や分光光度計を用いる比色法などによる測定を用いることが望ましいのであるが,いずれの病院でも可能というわけにはいかず,したがつて通常の出血量の測定は,その点で必ずしも厳密な意味では正確さに欠けているといわざるを得ない。その意味でこれらの出血量測定を基盤としての私どもの担当した薬剤の効果というテーマについても,すでに古くから産科医は分娩時の止血のため,経験的にこれらの薬剤を用いて有効と認めており,むしろ常識的でさえあり,今さらその効果判定を云々することはおそきに失するといううらみがある。しかし各種薬剤の効果が薬品のパンフレットに記載されているように,顕著な止血効果が常に現われるかどうかということに対する疑いは,誰しもが抱いていると考えたいし,またその投与法,投与時期,投与薬剤の選択などについても疑問があると考える。そのような考えから,まず日常,各病院で行なつている分娩時出血量の測定と,むしろ慣習的に使用している薬剤の効果について,正直にその成績をまとめたので,その結果について報告する。
 以上のような目的で,まず新宿日赤産院,国際聖母病院,国立横浜病院,栃木県上都賀病院と本学産院との五つのpartの協力を得て,分娩時出血量とその際の投与薬剤の効果に関する調査を行なった。そして出血量の測定には,それぞれ胎盤受けを用いての測定を行ない,胎盤娩出前後の出血量を測定するようにした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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