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特集 悪性腫瘍の診断
外陰癌,腟癌,卵管癌
著者: 前田一雄1 佐野正治1 北尾学1
所属機関: 1鳥取大学医学部産科婦人科学教室
ページ範囲:P.907 - P.913
文献購入ページに移動女性性器に発生する悪性腫瘍の発生頻度は子宮頸癌が最も多く,ついで子宮体癌,卵巣癌,外陰癌,腟癌,卵管癌の順である。女性性器癌のなかでも外陰癌は腟癌,卵巣癌についでまれな疾患であり,卵管癌は最もまれな疾患である。卵管癌の最初の報告はRaymond28),わが国では佐野31)で,それ以後多くの症例や集計の報告がなされている。最近,当科でも佐野ら31)が卵管に原発したと思われる腺癌の1例を報告した。
わが国では,悪性新生物による死亡率が年々増加の傾向を示しており,近年に至つてようやくその対策が真剣になつて考えられるようになつた。癌の早期発見は,その予後に対してきわめて重要である。早期癌の早期診断には腟細胞診あるいは腟拡大鏡診があるが,これらはどこまでも補助診断であつて,最終的診断は組織診である。しかし組織診においても1回のみの検査で最終診断を下すのは危険であり,特に疑わしいものには数回の組織診,あるいはまた数ヵ所の切除が必要である。女性性器癌のなかでも子宮頸癌は最も発生頻度が高いことから日常診察時にも特に注意がはらわれる。肉眼的な直接の観察が可能で検査も容易なので,その診断は比較的容易で,早期発見率も高い。外陰癌,腟癌でも同様なのではあるが発生頻度が低いので診断が遅延することがある。卵管癌は肉眼的な直接観察が不可能なのに加えて最もまれな疾患であるため,診断はきわめて困難であつて,ほとんど開腹後に至つてはじめて診断されている。本稿では外陰癌,腟癌,卵管癌について述べ,またその早期診断にもふれたい。
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