臨床婦人科産科24巻10号

1970年10月発行

薬の臨床

新しい免疫学的妊娠診断法 DAP Testの臨床応用について

著者： 野嶽幸雄¹ 田村昭蔵¹ 鈴木健治¹ 見常多喜子¹

所属機関： ¹慶応大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲：P.937 - P.942

はじめに
　妊娠診断については，従来行なわれてきたAscheim-Zondek反応やFriedman反応等の生物学的妊娠反応に代り，Wide ＆ Gemzellによる羊赤血球凝集阻止反応の応用をはじめとする免疫学的妊娠診断法が広く日常臨床で施行され，その手技の簡易性，迅速性，高い正診率等の優秀性が認められている^1）。
　これらの免疫学的妊娠診断法の原理は，HCGにて処理された赤血球またはPolystyrene Latex粒子懸濁浸に抗HCG血清とHCGを含まない尿，すなわち非妊婦尿とを混合すると凝集を生ずるが（図1），尿中にHCGの存在する場合には，抗HCG抗体は尿中HCGと結合し中和され，赤血球またはLatex粒子の凝集は阻止される。すなわち凝集のないものを陽性と判定する。