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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科24巻12号

1970年12月発行

特集 産婦人科診断--最近の焦点

トキソプラズマ

著者: 大内広子1

所属機関: 1東京女子医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.1097 - P.1099

文献概要

 トキソプラズマ(以下「ト」と略す)症と妊娠が合併すると,ときに胎内感染をおこし,その結果流早産,または先天性「ト」症児の出産をみることがあり,産科領域にて問題となるものである。
 「ト」症の感染経路は先天性のものは胎内感染,後天性のものは接触感染と経口感染が考えられ,感染源は豚,牛,羊などの食肉,犬,猫,鳥などの愛玩動物の唾液,排泄物が重要である。「ト」原虫が体内に侵入すると最強毒株では8〜9時間,弱毒株では数日〜数週の世代時間をもつて増殖してゆく,まず侵入局所附近,またはリンパ節で原虫が増殖,その後リンパ流,血液を介して全身臓器,組織へ散在する。散在した局所で増殖,またパラジデミー(ト血症)をおこし,そのうち宿主からの抗体産生されるようになり,遊離原虫は殺滅し,細胞内原虫の増殖はとまり,原虫が明瞭な膜をつくり,その中に数百匹存在する。「ト」原虫には増殖型とチステ型があり,増殖型虫体は強毒株感染の急性期に,チステ型虫体は急性感染が慢性期に移行し,虫体の増殖は停止し,チステを形成,長期間宿主体内,特に抗体の作用をうけにくい脳,筋肉内に長く存在する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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