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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科24巻3号

1970年03月発行

研究

新黄体機能判定法について

著者: 吉田俊彦1 鎌田昌平1 八木正稔1 相良祐輔1 大塚憲一1 川野辺登1 田中英夫1

所属機関: 1岡山大学医学部産科婦人科教室

ページ範囲:P.253 - P.256

文献概要

はじめに
 近年,妊娠中のhormone動態に関する多くの報告により,妊娠中のsteroid代謝も次第に明らかになつてきた。妊婦尿中のestrone, estradiol, estriol, pregnanediolおよびpregnanetriolなどの測定で16週を境としてestriol/estrone比が大きく変わり,また尿中pregnanediol値はこの時期に若干の低下を示して,以後急激に増加するとの報告もあり,このことは16週以後には16週以前とは全く異なつた代謝過程のあることが示された。この点に関しては,Diczfalusyがfoetoplacental unitでのestriol生合成に関する報告をし,この事実をみごとに説明している。
 また月経後よりsteroid homoneを測定中妊娠した例の報告を見ると,予定月経以前にすでにpregnanediolなどのsteroidが,正常周期の場合よりはるかに高値を示していた。このことは妊娠した場合,予定月経前にすでに卵巣に妊娠黄体化が起こつていることが推測される。以上の報告によつて妊娠が成立すると,下垂体--卵巣支配から,HCG--卵巣支配に移り,16週ごろより,胎盤そのものの時期に移るものと考えられる。したがつて16週までの早期の流産には,HCGの分泌不足,またはHCGに対する卵巣の感受性の悪いために流産を起こすものが存在すると考えられる。卵巣におけるHCGの感受性の悪いものの検索は,polycystic ovaryの検査にJayleが行なつた方法がある。しかし,この方法は初期黄体を利用している点で大きな欠点がある。ここに報告するのは,黄体機能試験として簡単に行なえるものであり,判定方法も容易であるため,一般臨床面において価値の大きい方法であると考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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