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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科24巻5号

1970年05月発行

文献概要

臨床メモ

ヒーターによる新生児の保温法

著者: 竹内久弥1

所属機関: 1順天堂大学産婦人科

ページ範囲:P.442 - P.442

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 近代的な空調設備を持つた分娩室を含め,分娩室の温度は大人が軽衣を着用して丁度良い20〜22度位に調節されているのが普通である。しかし,Miller & Oliver(Am.J.Obst.& Gynec.,94:964, 1966)によると,この温度は新生児にとつては低過ぎるという。分娩室で裸で処置を受け,沐浴されて新生児室へ到着する時には直腸温で平均2,3度も下つており,沐浴を行なわないと1.8度,保育器(32.6〜34.4度に暖めた)に直ちに収容すれば僅か1.0度の低下で済むという。このような体温の低下は新生児の代謝面に悪影響のあることが知られており,代謝性のアチドージスを起こし,低血糖の原因ともなる。しかも一旦冷えた身体は暖まりにくいもので,着物を着せ,毛布を掛けても回復には8時間以上もかかる。低血糖症,感染,頭蓋内出血では体温が不安定であり,この低体温は一層問題となる。
 ワシントン大学小児科のDu &Oliver (JAMA, 207; 1502, 1969)はこのような新生児に不利益な体温低下を防ぐために,新生児処置台の上に電気赤外線ヒーターを備えて,ここで分娩直後の処置や蘇生法を行なつている。ヒーターは400ワットで,処置台の上方64cmにあり,通常の分娩室滞在時間内では新生児が暖められ過ぎることはない。ヒーターと床は160cm離れており,ガス麻酔中の電気機器使用安全基準内にある。この装置の下で処置された新生児の体温低下は0.9度に止まり,体温低下防止のために大変有効であることがわかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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