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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科24巻7号

1970年07月発行

特集 異常妊娠とその診断

胞状奇胎の形態と組織像

著者: 渡辺行正1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.569 - P.572

文献概要

 胞状奇胎ほど解つているようにみえて解つていないものはない。絨毛の胞状化があればそれで奇胎であるとするならば何もいうことはないが,しかしそのようなことで果して奇胎を理解することができるであろうか。
 確かに図1,2に示すような,いわゆる定型的形態を示すものは間違いもなく奇胎であり,その組織像も常に定型的奇胎像を示している。図3,4,5はいずれも図1,2の組織像で,図3は小嚢胞の先端部,図4は嚢胞間の茎部にみられるトロホブラスト増殖像,図5はいわゆるトロホブラスト増殖集団である。このように形態と組織が一致しているものはその良悪性の問題は別として明確に胞状奇胎といつて差支えない。しかしいつもこのようなものばかりとは限らず,図6にみられるようなもの,あるいは図7にみられるような浸軟胎児を合併しているものもみられる。ではこのようなものの組織像は果して定型奇胎にみられるようなものがみられるかというと,それは決してそうではなく,図8,9にみられるようなトロホブラスト異常増殖像の極めて弱い組織像を示すのが常である。では更に一見したところ胞状奇胎とは思えないが,しかし正常絨毛ともいささか異なるという例をみると,図10,11にみられるような,いわゆる水腫絨毛が区分される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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