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薬の臨床
Ketalarの使用経験—主として初期人工妊娠中絶術の麻酔に用いて
著者: 福島溪二1 山下九三夫1 阿部光正1 与五沢利夫1 与五沢桂子1 佐藤廸男2
所属機関: 1国立東京第一病院麻酔科 2国立東京第一病院産婦人科
ページ範囲:P.651 - P.657
文献購入ページに移動初期人工妊娠中絶術,子宮内容清掃術のような産婦人科領域における短時間の手術の麻酔には,従来好んで短時間作用静脈麻酔剤のPentothal,Thiamylalのようなバルビタール剤が用いられて来たが,鎮痛作用がないために静麻のみに頼る場合は,頸管拡張時の疼痛を除くには麻酔3期2相にする必要があり,その結果大脳皮質下はもちろん中脳まで抑制され,呼吸障害や喉頭痙攣,循環障害が起こる危険が大きく,これを怖れて浅く維持すれば患者の防禦運動,絶叫などにより手術実施に支障を来たす場合が多く,鎮痛の目的に他の麻酔法を併用する方法が推奨されていた。
1965年Mc Carthy & Chenによつて報告されたKetalarはすぐれた鎮痛作用を有する短時間全身麻酔剤で,導入,覚醒が速やかで,呼吸,循環系への抑制が少なく,安全でPoor Riskの患者にも安心して使用し得る利点がある。殊に静注用Ketalarは短時間作用静脈麻酔剤として,全身麻酔の導入,短時間の手術,検査の麻酔に適しているといわれる。
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