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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科24巻8号

1970年08月発行

特集 異常分娩,産褥の診断

CPDの診断

著者: 荒木日出之助1 藤川雄平1 黒沢恒平1

所属機関: 1昭和大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.705 - P.710

文献概要

はじめに
 往年の狭骨盤の分類(Bumm)では産科真結合線が9〜7cmのものを第2度狭骨盤とし,骨産道以外の産科的条件が良好であつても自然分娩は不可能で,経腟分娩には何等かの産科手術を必要とするとある。おそらく今日では経腟分娩に対するこのような考え方で分娩にのぞむ産科医はなく,産科真結合線が9cm以下のような骨盤であつて,しかも胎児が成熟していると思われるような場合は,問題なく帝切が行なわれるであろう。それほど現代の産科学は治療医学的にも発達し,予防医学的にも考えを改めている。従つて児頭骨盤不均衡の慨念も児頭が単に骨産道を通過できないというばかりのものではなく,経腟分娩を強行することによつて,母児に重大な障害をもたらす恐れのあるようなものをも含むのは当然である。
 CPDの診断は厳密に言えば各例とも経腟分娩の可能性判定のために一応test of laborを行なつてのち下されるべきである。しかし高度狭骨盤であるとか,甚だしい巨大児で当然CPDが予想できるようなものは,test of laborを試みることなく帝切が行なわれてもよい。それゆえ,CPDの診断で最も臨床的に問題になるものは経腟分娩可否の判定に苦慮するような症例,すなわちCPD発生の恐れのあるborderline caseである。これらは全てtest of laborを行ない,分娩が停止し,母児両体あるいはそのいずれかに危険が切迫するか,またはその恐れがあると断定されたものにCPDの診断が下されるべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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