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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科24巻8号

1970年08月発行

文献概要

特集 異常分娩,産褥の診断

産褥時の異常出血

著者: 森一郎1 恒吉康男1

所属機関: 1鹿児島大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.731 - P.735

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はじめに
 産褥時の異常出血の診断を述べるについては,産褥時の異常出血とはどのような出血をいうかがまず問題であろう。もちろん字句のとおりなら,産褥期は分娩終了後より6〜8週間の期間とされているから,この期間におこる全ての異常出血が含まれなくてはならない。ところが胎盤娩出後2時間までの出血は,そのほとんどが分娩に直接基因するものと考えられているので,一般には,この間の異常出血は除外され,胎盤娩出後2時間から24時間までの異常出血を早期産褥出血,それ以降のものを晩期出血として観察されている1)
 一方異常出血については,分娩後には生理的出血,すなわち悪露は必発の現象であるから,これと判然と区別したうえで異常出血は確認されなければならないのに,早期産褥出血は,悪露に著明な凝血塊が混じていたり2),あるいは出血量が600gを越す場合3)とか,また晩期産褥出血については,突然大出血をみたり,あるいは一旦止まつていた血性悪露が再び現われ,なかなか止血しにくい場合4)とか,いずれも莫然と解釈されている。晩期産褥出血の場合は,悪露量が少ないから上述の解釈でよいとしても,早期産褥出血の場合は,分娩後2時間や,その後24時間の正常悪露量についてはほとんど知られていない。したがつてどれ位の出血量を異常とみなしてよいかはなはだ問題である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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