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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科24巻9号

1970年09月発行

文献概要

トピックス

低出力超音波Doppler胎児診断装置の検討

著者: 諸橋侃1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.835 - P.835

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 超音波Doppler胎児診断装置の普及に伴い,超音波エネルギーが,胎児に与える副作用の問題が最近にわかにクローズアップされて来た。すなわちBishopによれば,治療用超音波装置の出力は1〜4W/cm2であつて,組織に障害を発生させる強度は100W/cm2であるから,数mW/cm2〜数10mW/cm2の診断用装置では,まず問題とならないであろうと報告し,5分以内の使用では,600例中異常を認めなかつたとした。Brown等も,22.5mW/cm2で10分以内使用したところ,母児共に障害を認めなかつたと報告し,Bartonも10mW/cm2のオーダーならば安全であると言つている。我々の6000例を越す臨床経験からも,著明な副作用と思われるものは認めていない。ところが,最近清水等は,dd系マウスを使用して,実験を行なつた結果を報告した。これによると,100mW/cm2で6時間照射した群では,15例中1例に,40mW/cm2で6時間照射した群では,21例中1例に,それぞれ脱脳奇形を認めたという報告をした。この報告は,dd系マウスによる2000例の対照実験では,脱脳奇形を生じていないことからも注目に値すると思われる。この実験の結果が,直ちにヒトに応用されるものではないし,また6時間という長時間の照射にも検討の余地があると考えられる。しかし,ME関係者は,直ちにこのデーターを取り上げ,日本産科婦人科学会ならびに,日本ME学会において,それぞれ,超音波診断装置の副作用に対する小委員会を発足させた。
 われわれもこのメンバーの一員として,低出力装置の開発を現在行なつているのでここに紹介したい。研究にあたつては,胎児に与える影響を避けるため,基礎実験には動物を応用した。そしてでき上つた装置は,従来,行なわれなかつた排卵推定日の明らかな人工授精妊娠例を中心とした63例の高温相日数をもつて検討を加え,臨床的評価の正確を期した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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