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シンポジウム 末期子宮癌の治療
手術療法
著者: 藤原敏郎1
所属機関: 1天理病院
ページ範囲:P.1046 - P.1050
文献購入ページに移動はじめに
末期子宮癌に対する手術療法といえば,いろいろの問題が含まれる。たとえば隣接臓器への浸潤とか遠隔転移などに対する外科的処置なども当然含まれるが,これらは対症療法とみなされるから,ここでは従来もつとも多く論議された進行期癌の基靱帯処理を中心に論旨を進める。わが国では子宮癌の手術は曲折はあつても,とにかく岡林式を軸として系統的に発展を示し,現在まで多くの人が種々方法を述べてきた。しかし進行期癌に対しては昭和16年三林が16mmの映画とともに発表した超広汎性子宮癌手術に源を発していると思う。この術式は先刻originalのフィルムで供覧したが,当時麻酔はTropfnarkose,せいぜいOmbrédanneによるエーテル麻酔,あるいはごく初期の腰麻の時代で,また輸液輸血も現在のように一般化していなかつた時期に行なわれた手術としては,まことに驚嘆に値する。
末期子宮癌に対する手術療法といえば,いろいろの問題が含まれる。たとえば隣接臓器への浸潤とか遠隔転移などに対する外科的処置なども当然含まれるが,これらは対症療法とみなされるから,ここでは従来もつとも多く論議された進行期癌の基靱帯処理を中心に論旨を進める。わが国では子宮癌の手術は曲折はあつても,とにかく岡林式を軸として系統的に発展を示し,現在まで多くの人が種々方法を述べてきた。しかし進行期癌に対しては昭和16年三林が16mmの映画とともに発表した超広汎性子宮癌手術に源を発していると思う。この術式は先刻originalのフィルムで供覧したが,当時麻酔はTropfnarkose,せいぜいOmbrédanneによるエーテル麻酔,あるいはごく初期の腰麻の時代で,また輸液輸血も現在のように一般化していなかつた時期に行なわれた手術としては,まことに驚嘆に値する。
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