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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科25巻11号

1971年11月発行

特集・Ⅱ 産婦人科形成手術・Ⅰ

非観血的造腟術

著者: 深町庫次1

所属機関: 1順天堂大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.1117 - P.1123

文献概要

 造腟術は,主に,先天性腟欠症に行なわれる。先天性腟欠症は,古来,0.041%の頻度といわれているが,われわれ産婦人科医にとつてはしばしば遭遇する奇形である。この奇形は生命に別状なく外観的にも何ら異常を認めなくまた機能的にもほとんど変化がないので,どちらかといえば軽く取り扱われているのではないと思われる。なお発見される時期も青春期あるいは結婚期で,他の奇形の発見時期に比べ大層遅れている。それだけに,これが奇形とわかつた時は,本人はもちろん,その親達の落胆は想像以上のショックを受けるものと思う。すなわち,二次性徴は正常に発達している関係上,女性としての機能は完璧で,ただ青春期以後においても月経がないだけで,外陰部は正常(図1),処女膜は完成されているが,腟の開口が,ないのみである。直腸診を行なつてみると,子宮は膀胱壁に沿つて,痕跡的に触れるか,あるいは触れない,尿道,膀胱にS字状カテーテルを挿入すると,直腸の示指との間に,軟い,うすい索状が尿道,膀胱と直腸との間を分離しているように触れる。ここが腟管の生じる部分である。ただこれだけの奇形で,女性にとつては,第二の人生ともいえる結婚が不能であるということは精神面にも,身体的にも非常な苦痛といわざるを得ない。したがつて,人工造腟法によつて,この苦痛を取り除き正常な人と同様に朗らかに結婚生活をenjoyすることは絶対に必要で,また性生活にも支障がないということは,その後の人生に大きな自信をもつことにもなろう。
 人工造腟術は大きく2つに分けられる。すなわち観血的方法と非観血的方法とである。観血的造腟法は腸管を供用する,または粘膜,皮弁を利用する方法とがある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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