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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科25巻2号

1971年02月発行

症例

羊水栓塞によると思われた線維素原減少症

著者: 北尾学1 上野起1 長谷川清1 井庭信幸1

所属機関: 1鳥取大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.165 - P.168

文献概要

 産婦人科領域においては,多種類の原因による出血性ショックをたびたび経験する。特に産科では,流早産,子宮外妊娠,胞状奇胎,子宮頸管裂傷,子宮弛緩症や子宮胎盤溢血あるいは,羊水栓塞にみられる血液凝固障害(線維素原減少症)などの多数の出血性疾患に遭遇する。これらの大出血では線維素溶解現象が促進されて出血傾向がさらに増強することが多い。
 産婦人科における出血性ショックに対する処置は敏速かつ適切でなければならない。酸素吸入,輸液,輸血,強心剤,止血剤などの投与が必要である。一般には相当量の輸血および多種の止血剤投与によつてショック状態の回復がみられる場合が多いが,期待に反して効果がみられぬ場合には,血中線維原の減少と,図1の第4相にあたる線維素溶解現象(以下線溶現象と略),すなわちプラスミン活性の亢進を十分考慮に入れて治療を行なうべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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