icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科26巻11号

1972年11月発行

特集 産婦人科薬物療法の基礎知識

薬物の効果と判定

著者: 鈴木哲哉1

所属機関: 1慈恵医科大学薬理学教室

ページ範囲:P.975 - P.980

文献概要

 Ⅰ.post hoc, ergo propter hoc.
 最初に古きよき時代の中国の話をひとつ紹介しよう。ある若い見習い医者が珍しい処方,新しい薬を求めて全国をめぐり歩いていた。とある山中を旅行しているときのことだが,遙かかなたから追いはぎの一隊がやつてくるのに気づいてあわてて物陰に身をひそめた。追いはぎは睾丸の大きな男を引きたててきたが,ちようど若い医者の隠れているあたりまで来たときに,いきなりひとりが大刀を抜いて男の首をスッパリと斬りおとしたのだ。するとまことに不思議,男の大睾丸がすうつと縮んでしまつたではないか。かの医者はこの光景を見て感嘆久しうしていたが,やがて懐中の手帳を取り出すとこう書きいれたものである。「大睾丸の治療法,首をはねること。」ところで私としてはこんなくだらない話を書いた理由をこれから説明しなければならない。
 最近製薬業界は薬の再評価という問題で悩まされている。再評価というのはこれまで薬として認められてきた薬,あるいはその薬にたしかにあるとして認められてきた効能などが本当に正しいものであつたかをもう一度調べなおそうということであり,このことは取りも直さず今までの薬の評価のなかにはいい加減なものがあつたという疑いがあるということなのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら