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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科26巻11号

1972年11月発行

今日の産婦人科

ヘルペスウイルスと産婦人科

著者: 川名尚1

所属機関: 1東京大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.983 - P.990

文献概要

 ヘルペス症については,ローマ時代に,すでにHerodotusによつて記されているほど,古くから知られ,また,しばしばみられるポピュラーな疾患である。そして,ヘルペスウイルスの分離も既に,半世紀も前に成功している。したがつて,このウイルスに関する研究や業績は,数多いわけであるが,この数年来,再び注目を浴び,精力的な仕事がなされてきている。そのわけは,このウイルスには,2つの型があり,その2型が,子宮頚癌と関連があるようだという報告がなされ,人癌ウイルスの第2の候補として登場してきたからである。
 ヘルペスウイルス群のある者は,動物に発癌させるもの1,2,3)があり,人においても,Burkittlymphomaが,ヘルペス型のウイルスであるE-Bウイルスと関連が深いようだと報告され4),このウイルス群は,発癌ウイルスの候補となり得る条件は揃つてきた。しかも,ヘルペスウイルスはひろく,人類に分布しているので,生物学的,医学的な意味で,大切なウイルスの一つと考えられる。このウイルスは,産婦人科的には,次のような点から興味深いウイルスである。第1に,子宮頚癌との関連,第2に,ヘルペス感染症,すなわち陰部ヘルペス症,第3に,新生児の感染症,第4に,流産,催畸型性などとの関連の諸点である。特に,産婦人科的な疾患との関連は,ヘルペスII型ウイルスである。そこで,本稿では,主としてII型ウイルスについて,記述することにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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