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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科26巻2号

1972年02月発行

薬の臨床

オバポーズ錠(エストリオール1mg含有)による更年期障害の治療

著者: 馬島季麿1 伊藤達志1 明田川修生1

所属機関: 1日本大学駿河台病院産婦人科

ページ範囲:P.167 - P.170

文献概要

はじめに
 従来更年期障害は内分泌失調ことに卵巣機能の低下による下垂体卵巣系の失調が自律神経中枢である視床下部に影響を及ぼして自律神経失調を招き発症すると考えられていた。しかし本症は単に内分泌失調にもとづくものばかりではなく,複雑な心理的要因によつておこるものもかなり多いことも事実である。そこで筆者らは長年の研究により更年期障害を内分泌失調による自律神経失調型,内分泌失調と心因とが合併している心身症型,心因が主な原因となつている神経症型の3型に分類している。
 さて更年期障害の治療にはまずホルモン療法が第一義的に考えられるが,これには現在,主としてEstrogen-Androgen混合剤およびEstrogenが最も多く使用されている。いずれも有効であるが,前者は長期使用の場合男性化現象がおこり,また消退出血をきたすことがある。EstrogenのうちEstradiolは子宮内膜作用が強く子宮内膜の異常増殖,消退出血が多いので,子宮摘出婦人以外には不適当である。また本剤は内膜癌発生の可能性が全くないわけではない。その他マストパチー,乳癌発生にも関与するという報告もある。したがつて癌年齢でもある更年期婦人に長期使用することはさけた方が安全である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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