icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科26巻6号

1972年06月発行

文献概要

特集 新生児の救急対策

分娩麻痺

著者: 金岡毅1 岡田悦子1

所属機関: 1国立福山病院産婦人科

ページ範囲:P.485 - P.492

文献購入ページに移動
I.分娩麻痺の定義
 分娩麻痺Birth Paralysisまたは産科的麻痺Obstetrical Paralysisとは出産時おこる神経麻痺であつて,狭義には上腕神経叢麻痺Brachial BirthParalysisをさし,出生直後患児の上肢,多くは一側の上肢が麻痺して動かないことによつて発見される。しかしながら広義の分娩麻痺とは上腕神経叢麻痺のみならず,橈骨神経麻痺Radial Palsy,横隔神経麻痺Diaphragmatic palsy,閉鎖神経麻痺Obturator palsy,顔面神経麻痺Facial palsy,眼球運動に関係する第Ⅲ,Ⅳ,Ⅵ神経麻痺などを含めていう。
 これらの神経麻痺はその多くはいわゆる「難産」の後に発生することが多く,最近の分娩操作の進歩,児頭骨盤不均衡の管理の向上によつて次第にその頻度が減少して来てはいるが,必ずしも「難産」と関係づけられぬ神経麻痺もある。またこれの早期発見,早期管理をめぐつて,最近流行の感がある医療事故紛争のおこるおそれもあり,日常産科医および助産婦が常に気をつけねばならない問題の一つとも考えられている。そのような意味でいかにしたら分娩麻痺を早期に発見できるが’発見した場合これをどう処置したらよいか,その救急対策を中心に述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?