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特集 絨毛性腫瘍
はじめに
著者: 野嶽幸雄1
所属機関: 1慶応大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.573 - P.573
文献購入ページに移動 絨毛性腫瘍は妊娠を契機として発生するいわば女性と産婦人科医にとつては,まさに宿命的な疾患であり,他の一般腫瘍のカテゴリーからも逸脱して不可解の点の多いことも周知の通りであります。今日では奇胎・破奇・絨腫という一連のspectrum diseaseの概念で理解されるようになつていますが,成因からしてなお皆目不明としかいえず,日産婦学会には専門委員会として登録機関がおかれてはいても作業はなかなか軌道に乗らず,診断の実際的な基準そのものも,方法論的にまた見解の点で統一がむづかしく,したがつて適正な管理,治療法の優劣の評価は至つて困難といわざるを得ません。すべての点で子宮癌とは全く対蹠的にすつきりしないといえましよう。しかし子宮癌に較べて絨毛性腫瘍の生物学的な性格は極めて複雑で,それだけにまたapproachのangleが多面的であるともいえましよう。この点からも最近における種々の分野の研究開発と進歩に伴つて本腫瘍群に関する認識と興味はにわかに高揚されてまいりました。今回のシンポジウム**は臨床から基礎に亘つてそれぞれベテランの講師の方がたにより非常に多彩のものになりました。
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