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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科26巻7号

1972年07月発行

特集 絨毛性腫瘍

絨毛性腫瘍の化学療法における問題点

著者: 田村昭蔵1 鈴木健治1 見常多喜子1 押切冏之1 蔵本博之1 山田拓郎1 宮本弘毅1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.593 - P.597

文献概要

 UICCのTrophoblastic Neoplasia Study Groupの研究成果からいくつかの問題点が浮彫りされたが,特に注目されるのは絨毛上皮腫(以下絨腫)の治療成績が未だきわめて不満足の域に止まつていることである。したがつて絨腫の治療成績の向上について今後一層の努力を要するが,その対策の出発点としてまず問題となるのが絨腫と破壊性胞状奇胎(以下破奇)の鑑別診断であろう。正しい診断なしに適正な取り扱いは不可能であり,治療成績の向上も望み得ないからである。殊にprimarychemotherapy施行症例では病巣を温存せるまま治療し,組織学的確診の得られぬ場合が多く,それにもかかわらず絨腫・破奇では化学療法による効果が大いに異なることから,臨床的診断ならびに病巣推移や治癒判定の適格性が強く要求されるのである。第2の問題点は絨腫に対する有効な治療法の開発である。方法として種々の方途が考えられるが,現実の問題として緊急かつ重要なものの1つに化学療法の強化・改善がある。これに関して第1に着眼されるのがMethotrexate (以下MTX)とActinomycine D (以下ACT-D)の併用療法である。最近Hollandは国際協同研究班としての新治療方式として,MTXの0.6mg/kg/dayを週2回筋注し,同時にACT—Dの20mcg/kg/dayを週1回静注する投与法を30週の長きにわたり実施することを提案した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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