icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科26巻8号

1972年08月発行

文献概要

カラーグラフ 臨床家のための病理学・7

膣の疾患・Ⅰ

著者: 滝一郎1

所属機関: 1九州大学産婦人斜

ページ範囲:P.658 - P.659

文献購入ページに移動
 腟と子宮は,左右のMüllerian duct,Müller管,paramesonephric ductの尾方部の融合によつて形成される。Müller管は胎生5週頃から,Wolffian duct,Wolff管,mesonephric ductの内側にそつて形成され始め,8週頃に尾方部の融合が始まり,次第に単一の内腔が形成される。しかし最尾方部はMüllerian tubercleと称する結節となつてurogenital sinus,泌尿性器洞に突出し,この部の開口は遅れる。3ヵ月になるとMüller管の周囲を中胚葉が取り巻いており,後に腟,子宮の粘膜下線維組織や平滑筋組織を形成する。
 Müllerian tubercleがurogenital sinusに接続する部が伸長して腟と子宮腟部になるが,その付近にはWolff管も開口している。腟と子宮腟部の形成過程中に,Müller管腔の上皮の一部は尾方より頭方に向つて他種上皮で置換されることが知られているが,置換する上皮がurogenital sinus由来かWolff管由来かについては統一見解がない。したがつて,腟,子宮腟部の上皮の起源も未だ不明であるとしかいえないが,現在では腟の上2/3はMüller管,下1/3はurogenital sinusから発生するとするのが通説のようである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?