icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科26巻8号

1972年08月発行

文献概要

特集 感染症の今日的問題

抗菌薬の働らき—基礎研究者から臨床家へ

著者: 桑原章吾1

所属機関: 1東邦大学医学部微生物学

ページ範囲:P.661 - P.665

文献購入ページに移動
はじめに
 感染症はすべての臨床の領域でかなりの比重を占める疾患であると考えてよい。ところが,天然痘をはじめ,ペスト,コレラ,腸チフス,赤痢(とくに志賀赤痢)あるいは発疹チフスなど,いわゆる法定伝染病に入る,強い特異な菌力と伝達力をもつ感染症は次第に姿を消したか,または発生頻度の著しい低下を示しているのに,一般感染症のほうは,もちろん死亡率は著しく低下したものの,発生数については,詳細な変動はわからないが,少なくとも目立つほどの減少は起こつていない。ただ,原因菌と病状の経過がかなり変つてきたことは事実である。
 このような感染症の様相の変化の原因はいろいろあろうが,つきつめてみるとほぼ2つの要因に大別されると考えられる。その1つは抗菌薬の普及による強毒菌の衰退であり,他の1つは一般治療薬ないし治療技術の進歩による宿主側の治療および感染に対する反応力の変化である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?