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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科26巻9号

1972年09月発行

臨床メモ

陣痛発来の胎児側要因

著者: 竹内久弥1

所属機関: 1順天堂大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.795 - P.795

文献概要

 標題については本年6月号の本欄でも胎児副腎機能との関係について紹介したが,その際胎児の脳下垂体の機能が陣痛の発来に関連づけられることを述べた。今回は胎児のoxytocinとvasopressinを測定したデータを紹介する。
 Chard,T.ら(Nature 234:352,1971)はヒトについて陣痛発来前と発来後の母体静脈血,臍帯動脈血,臍帯静脈血のoxytocinとvasopre—ssinをradioimmunoassayで測定した。その結果,母体静脈血中のoxy—tocinは陣痛発来後には大部分が0.75μU/ml以下でほとんど測定できず,分娩後の臍帯動脈血はこれに対し平均27μU/mlと高く,同時に測定した臍帯静脈血ではそれよりも低いが平均15μU/mlであつた。この動静脈間の差は有意であり,さらに興味深いのは無脳児ではこの臍帯動脈血中のoxytocinを証明できなかつたことである。次に帝切例では母体静脈血中oxytocinは平均12μU/ml,陣痛発来前の胎児臍帯動静脈血がそれぞれ7および19μU/ml,すなわち臍帯静脈血の方が高濃度になつている。ところが陣痛発来後帝切例ではそれぞれ18および13μU/mlで,有意差はないが経腟分娩例同様,臍帯動脈血の方が高濃度である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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