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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科27巻1号

1973年01月発行

雑誌目次

特集 産婦人科における機能性疾患

機能性性器出血—機能性子宮出血の病態生理を中心に

著者: 楠田雅彦

ページ範囲:P.27 - P.36

 ごく常識的に考えると,機能性性器出血とは,はつきりした器質的原囚が認められない性器出血すべてを指すことになる。出血部位となる性器としては卵巣,卵管,子宮内膜,頚管,子宮腟部,腟,外陰などがあげられる。卵巣からの出血は外出血として認められることはまずないし,卵管からの出血は急性卵管炎,卵管妊娠に限定され,これらは機能性疾患ではない。また頚管,子宮腟部,腟,外陰よりの出血も機能性のものは考えられず,わずかに幼女や老人の腟炎にみられる出血が病因的に機能的なニュアンスを含んでいるに留まる。
 したがつて機能性性器出血は機能性子宮内膜出血と同意語と解釈されるので本稿では従来慣用されている機能性出血について,その機能障害としての病態生理を中心に考察してみたい。

不妊

著者: 広井正彦 ,   高橋威

ページ範囲:P.37 - P.44

 ここ数年来,生殖生理学の研究の進歩には著しいものがある。とくに妊娠の自動的調節のための経口避妊薬や子宮内避妊器具の開発はすさまじい。これに反し不妊症に対する対策も検討され,近年各種の排卵誘発剤が相ついで出現し,1971年SchallyらのLH-RHの合成によりその頂点に達したといえる。
 このように避妊法と不妊症の対策が大きな社会問題となり,産婦人科医の日常しばしば遭遇する問題となつてきている。とくに不妊症の場合には,当該者にとつて実に切実な問題であるが,現在なお不明な分野も多くその治療が充分に行なわれていない現状である。

更年期障害

著者: 福島峰子

ページ範囲:P.45 - P.49

 近年,平均寿命の延長とともに閉経年齢も延長の傾向がみられ,ほぼ50歳前後と考えられる。したがつて更年期はおおよそ45〜55歳位とみてよい。その間に起こる不定愁訴症候群を更年期障害という。これは自律神経性のものと心因性のものとに分けられるが今回は特に自律神経性のものについて述べたい。心因性のものでは症状面は自律神経性のものと変らないが,自律神経機能検査ではむしろ安定値を示すものが多く,機能失調があるとは考えられないからである。

カラーグラフ 臨床家のための病理学・12

子宮疾患・Ⅲ

著者: 滝一郎

ページ範囲:P.6 - P.7

 正常な子宮頸部の表面は扁平上皮と円柱上皮とでおおわれ,両上皮はsquamocolumnarjunction (扁円接合)で境されている。今回は円柱上皮におこる諸種の形態変化を供覧する。

巻頭論文

胎児診断の現況と問題点

著者: 坂元正一 ,   神保利春 ,   佐藤和雄 ,   桑原慶紀 ,   鈴木孝男

ページ範囲:P.9 - P.25

はじめに
 現代産科学の著しい発展の跡を顧みると,そこには,3つの大きな流れを汲みとることができる。その第1は,妊娠中毒症の早期発見と治療,分娩時ショック対策の進歩,化学療法による感染症の治療など,妊産褥婦管理面における成果であつて.母体死亡の急激な減少をもたらした。第2は,胎児胎盤系の概念の導入やMEの進歩にともなう,安全分娩管理の発展であり,この成果は,周産期死亡の減少につながつた。そして,第3は,これからともいうべき胎児診断による胎児管理学の発展である。妊娠早期診断のための,HCG測定法の進歩,超音波診断は,胎児への不用意なX線被曝の危険を防ぎ,また確徴としての胎児存否の診断の大きな助けとなつている。胎児情報を羊水にもとめる,種々の検査法の進歩は,染色体分析の発展と相俟つて,先天性代謝異常や染色体異常の出生前診断という画期的成果を生み,Genetic Counselingという新しい分野を拓こうとしている。さらに,妊娠後期においては,胎児胎盤系の機能検査に加えて,超音波断層法の応用,諸種の羊水情報などをもとに,成熟度判定によるhigh risk babyの適切な娩出時期の決定が試みられている。

臨床メモ

糖尿病妊婦と血糖値

著者: 竹内久弥

ページ範囲:P.25 - P.25

 糖尿病妊婦の児は巨大児になりやすく,奇形合併頻度の高いうえに,周産期死亡率も高いことが知られ,わが国でも最近では簡単に検査がおこなえるようになつたこともあつて関心がもたれつつあることはいうまでもない。
 なぜ糖尿病妊婦の児に奇形が多いのか,その理出は不明であるが,周産期死亡率の高いこととともに実地臨床上妊婦の管理の点でも困ることが多い。その意味でスウェーデンのKarlssonら(Amer. J. Obstet.Gynec. 112, 213, 1972)らの報告は一つの新らしい方法を示しているように見える。彼らは1961年から70年までの179例の糖尿病妊婦から生れた180名の児について,周産期死亡,低血糖,黄疸,RDS,奇形の発生率と母体の血糖値との関係を検討した。その結果,周産期死亡率は母体血糖値が100mg/dl以下の群が3.8%であつたのに対し,100〜150mg/dl群は16%,150mg/dl以上群は24%と明らかな差が見られる。RDSおよび交換輸血を必要とする重症黄疸の発生率も血糖値100mg/dl以下とそれ以上の群では差が認められ,前者が低かつた。しかし,母体血糖値と児の低血糖発生率には関係がなく,また興味深いことには巨大児の発生率と母体血糖値との関係は見出せなかつた。

今日の産婦人科

産婦人科における医療事故

著者: 藤原哲

ページ範囲:P.55 - P.60

 昭和47年10月22日大阪フェスティバルホールにおける本年度の日本産科婦人科学会臨床大会で,特別講演として"産婦人科における医療事故"が鼎談形式によつて行なわれた。
 まず座長として私からこのテーマを選んだ理由について発言した後,各講師の意見交換を行なつたので,その概要と感想を述べる。

解説講座

医学文献のしらべ方

著者: 石原力

ページ範囲:P.65 - P.71

 医学文献のしらべ方についてかくように求められたが,みずからを顧りみて内心忸怩たるものがあるけれども,このような日常的なことについては,人それぞれ独自の仕方があるはずであり,ほかの人の仕方の中にも,多少は参考になる点もあるかもしれない,という程度のつもりで執筆することにした。医学文献といつても,もちろんここでは産科婦人科領域に限定されることをあらかじめお断りしなければならない。

研究

IUD挿入中の妊娠,その脱出ならびに副作用のための除去例—当院におけるIUD (intrauterine device)の臨床成績・第2報

著者: 村山茂 ,   根本謙

ページ範囲:P.77 - P.83

 東京電力病院において1960年,(昭和35年)より1969年(昭和44年)に至る10年間に373例に対し833回のintrauterine device (IUD)の挿入を行なつた。総使用年数は882婦人年であつた。1回当りの挿入期間は平均13.1月となる。この詳細については既に報告した。さてこれら症例中に(I)失敗例として挿入中の妊娠(15例),脱落後の妊娠(9例),脱落のみ(4例)計28例が認められた。これはIUDを使用するもその本来の目的である避妊を達成し得なかつた症例である。
 次に(II)挿入後出血,疼痛その他の障害のためにIUDを継続使用できず除去した症例が10年間に合計81例あつた。この両若について詳細な検討を行なつたので報告し,今後のIUD使用の参考に供したい。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

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今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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