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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科27巻1号

1973年01月発行

巻頭論文

胎児診断の現況と問題点

著者: 坂元正一1 神保利春 佐藤和雄 桑原慶紀 鈴木孝男

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.9 - P.25

文献概要

はじめに
 現代産科学の著しい発展の跡を顧みると,そこには,3つの大きな流れを汲みとることができる。その第1は,妊娠中毒症の早期発見と治療,分娩時ショック対策の進歩,化学療法による感染症の治療など,妊産褥婦管理面における成果であつて.母体死亡の急激な減少をもたらした。第2は,胎児胎盤系の概念の導入やMEの進歩にともなう,安全分娩管理の発展であり,この成果は,周産期死亡の減少につながつた。そして,第3は,これからともいうべき胎児診断による胎児管理学の発展である。妊娠早期診断のための,HCG測定法の進歩,超音波診断は,胎児への不用意なX線被曝の危険を防ぎ,また確徴としての胎児存否の診断の大きな助けとなつている。胎児情報を羊水にもとめる,種々の検査法の進歩は,染色体分析の発展と相俟つて,先天性代謝異常や染色体異常の出生前診断という画期的成果を生み,Genetic Counselingという新しい分野を拓こうとしている。さらに,妊娠後期においては,胎児胎盤系の機能検査に加えて,超音波断層法の応用,諸種の羊水情報などをもとに,成熟度判定によるhigh risk babyの適切な娩出時期の決定が試みられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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