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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科27巻11号

1973年11月発行

文献概要

特集 症状からつかむ私の治療指針 産科

妊娠悪阻

著者: 荒井清1 矢内原巧1 冲永荘一1

所属機関: 1帝京大産婦人科

ページ範囲:P.932 - P.933

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 妊娠のごく初期(最終月経後6〜8週)より妊婦の約半数で主に早朝空腹時に吐気,嘔吐がみられ,一般につわりまたは妊娠嘔吐と呼ばれ妊娠の疑徴の一つとなつている。このつわりの軽度なものはごく正常な妊娠時の生理現象と考えられ,したがつて普通治療の対象とならない場合が多い。妊娠悪阻はつわりの病的状態と考えられるものであり,頭固な吐気・嘔吐が続き母体の栄養障害を来し(軽症型),さらには中毒症状,脳症状が伴つてきて(重症型)早期に適切な処置をしないと重篤な経過をとることもある。
 本症の原因は未だ不明である。神経症の患者に妊娠初期に頑固な嘔吐がしばしばみられ,機能的に神経系統に障害がある場合,妊娠が本人にとつて望ましくない場合,出産に対する恐怖,性に対する嫌悪などが意識的または無意識に嘔吐の原因となり得ることはしばしば指摘されている。暗示療法がよく効果をおさめることより悪心嘔吐などは精神身体的要因に帰するとも考えられている。また絨毛性ゴナドトロピン分泌曲線が本症と平行しており,このゴナドトロピン分泌の多い胞状奇胎妊娠の場合に症状が強いことよりホルモン過剰分泌が木症の原因であるといわれている。その他,原因として免疫学的反応説,ビタミン失調説,副腎機能不全説などがある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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