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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科27巻11号

1973年11月発行

特集 症状からつかむ私の治療指針

産科

外陰血腫

著者: 唯正一1

所属機関: 1唯医院

ページ範囲:P.976 - P.977

文献概要

I.外陰血腫とは
 外陰血腫を外陰に見られる血腫と考えれば,その特徴的所見から定義についての問題点はまずない。図1はR.J.Pieriの外陰血腫の解剖学的定義である。外陰血腫は骨盤隔膜より下方に発生する。骨盤を両側坐骨結節を結ぶ線で前後に分けると,前方三角部ではコーリス筋膜,尿生殖隔膜の下面が,後方三角部では肛門挙筋(骨盤隔膜)の下面が血腫の固い屋根を形成している。
 外陰血腫の主因は分娩である。腟は肛門挙筋の恥尾骨筋を貫通しており,両者の接点は児頭下降時多少の損傷はまぬがれない。また外陰血腫の一因である会陰裂傷・会陰側切開時には腟損傷が当然伴う。したがつて外陰血腫が独立して発生する場合は少なく腟血腫に拡大する。あるいはその逆に腟から外陰へと血腫は増大する。骨盤内は粗鬆な結合組織や脂肪が多く,血腫は外陰から水平に背部に拡がれば肛門を圧迫し,腟周囲にひろがれば腟を側方に圧迫し,広間膜基底部に拡がればプーペル索を通つて上肢のつけねに,後方にまわれば後腹膜的に腎臓に達する。この種の血腫はとくに産科的には骨盤入口から出口までのあらゆるレベルに発生しうるものであり,骨盤血腫pelvic hematomaまたは骨盤内血腫とよぶのがよい。ここではそのうち腟外陰に主として形成される血腫を対象に私の治療方針をのべていきたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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