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特集 症状からつかむ私の治療指針 新生児
新生児脳内出血
著者: 白川光一1 金岡毅1
所属機関: 1福岡大産婦人科
ページ範囲:P.989 - P.990
文献購入ページに移動 新生児脳内出血は病因別に分娩外傷などの機械的損傷によるものと,無酸素症などの生化学的損傷によるものとに大別される。しかしいずれも近代産科学における分娩管理の進歩によつて減少しつつあり,前者においてその傾向が大である。とはいえ脳内出血の後遺症は深刻であるため,いまだ問題の多い疾患の一つでる。
この新生児脳内出血は新生児期早期に確診することは困難な場合が少なくなく,死後の剖検,あるいはかなりの時間の経過後に確診されるものが多い。その理由は,①新生児の中枢神経系は未熟であつて成人のごとく明瞭な症候が出現し難いこと,②出血の部位,程度などにより症状が異なること,③出血を伴わない無酸素性脳障害との鑑別が困難であること,④呼吸障害,心不全,副腎出血,低血糖症,低Ca血症などでも類似症状がみられかつこれら疾患の結果として脳内出血が続発することもありうることなどがあげられる。したがつて脳内出血が疑われる症状がみられる場合には蓋診または疑診を施し,その症状を対症的に治療しつつ鑑別診断を進め,疾患の本質に接近していくのが普通である。
この新生児脳内出血は新生児期早期に確診することは困難な場合が少なくなく,死後の剖検,あるいはかなりの時間の経過後に確診されるものが多い。その理由は,①新生児の中枢神経系は未熟であつて成人のごとく明瞭な症候が出現し難いこと,②出血の部位,程度などにより症状が異なること,③出血を伴わない無酸素性脳障害との鑑別が困難であること,④呼吸障害,心不全,副腎出血,低血糖症,低Ca血症などでも類似症状がみられかつこれら疾患の結果として脳内出血が続発することもありうることなどがあげられる。したがつて脳内出血が疑われる症状がみられる場合には蓋診または疑診を施し,その症状を対症的に治療しつつ鑑別診断を進め,疾患の本質に接近していくのが普通である。
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